そう、それが・・・。
いつだって私の危惧する問題だったんだ。
彼を支える一番のパートナーで理解者でありたい。
必要とされたい。
支えて・・・高見に上る彼を近くで見たい。
でもそれは・・・決して彼と対等に並んでではなく、きっちり一線引いた関係で支えて見守る関係としてだったのに。
「・・・・・なんで・・・デートとかしてるんだろ・・・・」
彼が選んだ服を着て、彼の喜ぶ為にメイクして、彼が望むように夫婦の絆を深めるようなデートをしている。
そして彼を傷つけないように、いつの間にか【契約】に触れなくなっている私。
・・・・ああ、それも違う。
私も大概馬鹿で、すでに麻薬的な副作用に染まっていたんだ。
彼に頼られるのが嬉しくて、甘えられると愛でたくなって、キスされると求められていると歓喜する。
そうして求められて肌の熱を共有すれば・・・・もう、アウト。
後先考えずに溺れた結果が私と彼のあるべき姿や未来を狂わしバランスを壊す。
馬鹿な私もいつの間にか目の前の甘さに未来を見て見ぬふりして。
私こそその未来に触れたくないと【契約】から目を背け始めていたんだ。
「末期・・・・・・ね」
自分に嘲笑。
そして浅はかで軽薄に関係を進めた自分に心底呆れた。
「リセット・・・・しないと」
打ち出した答えにわずかに胸が痛んで、ちくりとしたそれに眉根を寄せながら歩き出す。
宛もなくぼんやり歩いて、自分の携帯が震えて存在をアピールしていたのは気が付いていた。
それでも気がつかぬふりしてブーツのヒール音にそれを掻き消していった。
無心。
余計な感情を排除するには他の集中が必要だと思う。
少なくとも私はそう。
ぐだぐだとした感情に占められた時はすべてをリセットするように無関係な物に集中を移す。
耳に響くのは騒音。
それも様々な機械音。
簡単に言えば人の声も遮るほどの騒音で、でも今はそれに安堵を感じて目の前のことに集中した。
手に握るのはプラスチックで出来た大型の銃で、それを目の前の大判の画面に向けて意識する。
何のことはない。
通りかかったゲームセンターのシューティング系のゲームに集中してのめり込んでいただけのこと。
襲い掛かってくる敵をほとんど外すことなく撃ち続けてスコアもだいぶ高得点だ。
でもそれを称賛するような観客は残念ながら存在しない。



