見た限りトレーの上にメロンパンが6個、トングに1個。
メロンパンで埋め尽くされたそこのすでに他のパンは乗せられないであろうと推測できる。
呆然と自分の馬鹿っぽいミスの山を見つめていれば、彼がクスリと笑って不動なままだった手を誘導し7個目のメロンパンをトレーに追加した。
そして一瞬、
多分一瞬そのグリーンアイに鋭さ交えて後ろに意識しすぐに消した。
視線だけは。
「うん、激甘・・・」
「すみまーーー」
「これだけ俺への愛情たっぷりって無言の意思表示、最高だよハニー」
「・・・・」
ああ、嫌味。
でも私に対してじゃなく・・・多分まだ背後にいる2人に対して。
小さく庇われいつものおふざけな言葉を向けてくれたのに、さっきの対面への懸念で彼に対する言葉に迷って無言になる。
下手にきつい言葉を返せば彼の印象が悪くなるのかと必死で言葉を探してメロンパンの上のグラニュー糖を見つめる始末。
でもそんな心情ですら見事読んで理解する彼が私の服の裾をきゅっと摘まんで引き、それに意識移して振り返った直後。
吹っ飛んだ。
彼の為に抱いていた僅かなる懸念が。
一気に赤に染まる脳裏。
羞恥でなく上回る怒りで。
振り返った瞬間、それを図って重なった唇に一瞬は驚愕。
次いで現状把握で公共の場だと理解。
そして公衆の面前での猥褻行為と公開処刑。
追加・・・むかつく程妖艶な微笑み。
「・・・・・・・甘いのご希望でしたよね。会計すんだらこのメロンパン全てあなたの口に詰め込みます」
「激甘~、愛情たっぷりで昇天しちゃうよハニー」
「残念だわ、トングとパンで手が塞がってなかったら愛情たっぷりの鉄拳で昇天させてた」
「おうっ、いいねゾクゾクするぅ。千麻ちゃんのきつい言葉が一番愛情感じるよ」
「キモイ!!」
「えっ?好き?」
「Mが移る・・・近づかないでください」
「何?もっとキスしたい?」
「・・・・・・いい加減にしないとロープで縛ってバイクで引きずりますよ」
本気でぶっ殺すぞと睨み上げて牽制したのに、彼と言えばへラッと笑って満足そうに摘まんだ服を引いてきた。



