夫婦ですが何か?








ふわりと秋の匂い感じる風に髪を遊ばれる。


それを抑えながら空を見上げれば雲のない空は高いと感じた。


でも立ち止まるでもなく、つないだ手を引かれるまま歩きブーツのヒールを響かせ歩く。


さすがに歩きではないだろうと彼がポケットに入れている鍵で推測していたのに、何故か車ではなくいつもとは違う場所に歩き出す姿に疑問を感じる。


彼を覗き上げてもワザとなのかただ口元に弧を描くだけで説明もない。


また何かを企んでいるのかと軽く心構えをして無言でついて歩けば、あっさりその答えは明かされた。


歩んで立ち止った彼と私の前に印象強烈に存在するバイクで。



「・・・・・あなたのですか?」


「うん、俺の~」


「バイクに乗るとは存じませんでした」


「まぁ、趣味?仕事の間は送迎あるし、最近は車で移動が多かったし」



そう言いながらも宝物に触れるように無邪気な笑みでグリップを握り跨る姿。



「400くらいですかね?」


「詳しいね」


「まぁ・・・。つまり今日はこれで移動を?」


「そ、たまには風感じて乗りたいわけですよ。千麻ちゃんに引っ付いてもらえるし?」



ニッと笑う姿に『呆れた』と表情で告げ腕を組む。


そんな反応に堪える筈もなく、彼がキーを刺しエンジンをかけようと勢いよく足に力を入れる。


けど・・・。


やる気のないモーター音が一瞬響いて静かになった。



「あれ?しばらく乗ってなかったからなぁ。かかりにくくなってるかも・・・」



そう言って再度試みても同じような結果。


『あれ~』と声響かせ根気よく繰り返す彼を無言で見つめその場にしゃがみ込むと成行きを待った。


バイクではありがちなトラブル。


しばらくは頬杖着いて彼の頑張りを見つめ、それでも数分たった頃に溜め息交じりに立ち上がると首を傾げる彼の近くに寄ってグリップを握る。



「・・・千麻ちゃん?」


「・・・ちょっと・・・いいですか?」



暗に代われと促すと、怪訝さ交える苦笑いでスッと身を引いた彼が、どうぞとばかりに手を添えた。


それを横目にバイクに跨るとクラッチやブレーキを握る。


そしてあとは感覚。


グッと勢いよく蹴り下げてみたけれど彼と同じような結果が耳に響き、横で見ていた彼も『ほらな』と言いたげな苦笑い。


だけども次の瞬間にはその苦笑いを掻き消してやった。


二度目のキックでバイクならではのエンジン音が鳴り響き、消えてしまわないかと様子を伺い、規則正しく鳴り続けるそれに視線を彼に向けてニッと微笑む。



「・・・本当・・・千麻ちゃんに出来ないことは何?」


「可愛い【女の子】でいる事・・・・で、しょうか?」



彼の賞賛含みの苦笑いに強気に微笑む。


意外な趣味の一致。


私もバイクは好きよダーリン。