色々と矛盾が頭によぎり、もう思考も面倒だとすぐさま確認。
「ちょっ・・・、朝食食べると・・・」
「うん、食べるよ。折角だから外で食べようよ」
「外?」
「パン屋とかカフェとか開いてるでしょ?」
「ああ・・・」
なるほど。
納得して声を響かせるとようやく外れた彼の手。
玄関で靴を履く為の解放。
先ほど用意したブーツを履くと、再度彼の視線が私を上から下まで確認してにっこり微笑んだ。
そんな彼の視線を感じながら玄関に置いておいたショルダーバックを肩にかけると、更に満足そうに笑って頷く。
「ナイスチョイス。手は空いてた方がいい」
「はっ?」
疑問残る言葉にまんま疑問を乗せて響かせても、あっさり種明かしする彼でもない。
ただ含みある笑みを私に向けると玄関の扉を開けて外に歩き出した。
まぁ、いいか。
今日の主導権はほぼ彼にあると言っていい物なんだ。
今日くらいは静かに乗せられようと自分に言い聞かすと自分もその身を外に出して歩き出す。
そしてこれは癖。
いつものように少し前に出てエレベーターのボタンを押さなくてはと足早になると、スッと手に絡み付いてきた指先にそれを阻止された。
振り返れば彼の苦笑い。
「今日は・・・夫婦ですよ?」
「・・・・・癖です」
「俺より前に出ないで・・・・、今日は隣にいて」
「命令ですか?」
「・・・・【お願い】です」
ギュッと絡んだ指先に力が込められた。
言葉のままゆっくり引き戻された体が彼の隣に並ぶ。
改めて並べばはっきりする身長差。
いつも子供っぽい反応や言動での視点で感じていた彼は、こうして並べば私より身長の高い男の人なんだと再認識。
嫌なことに気が付いた。
そして彼を男だと認識する他の時間も記憶に浮上して心臓が強く跳ねる。
ああ、意識すればまだ僅かに痛む。
彼に激しく求められたのはまだ間も飽かぬ1時間と少し前なのだ。
「行こうか・・・・ハニー」
「・・・・・行くからには、楽しませてよねダーリン」
合言葉のようにお互いらしく会話をすると、彼が小さく笑い私の手を引いて歩き出した。
こんな時間にこうしてあなたと並ぶのは不思議。
ねぇ、ダーリン・・・・。
少しだけね、ワクワクしている自分がいるのが腹立だしくて困っているの。
そう言ったらきっと、表情ばかりは困ったように笑って見せて心では喜ぶんでしょうね、・・・あなたは。
言いませんけど・・・。



