そしてまた外される視線。
だけどこれに悪意はない。
あるのは・・・。
「・・・可愛すぎて・・・・、何か照れた。直視できなかったといいますか・・・」
「・・・・・・・・」
「普段千麻ちゃんが薄化粧でよかった・・・。じゃなきゃ俺まともに仕事できないや・・・」
「・・・・・・・・単純馬鹿ですね」
「あっ、ヤバい・・・、ドツボなそのスタイルでの千麻ちゃんのきつい言葉・・・・ちょっとドキドキする」
「・・・・・・・・・どM・・・」
「もうMでもいいや。可愛い~・・・」
言うなり人をぬいぐるみの如く抱きしめギュッと力を込める彼。
いつもの香りを強く感じ、密着する顔で彼の服を汚さないかとドキドキと焦る。
そして頭の中の冷静な自分が冷めた感じに突っ込みを入れる。
何バカップルな事しているんだろう?
同感。
なに溺愛新婚夫婦の様にデートに浮れての甘ったるい抱擁を交わしているのかと彼の胸を押し返す。
彼と言えばまだ足りないと言いたげに眉尻下げての捨てられた子犬の表情で私を見つめ。
うっかり可愛いと思ってる末期な自分の思考に焦ると見て見ぬふりだと歩き出す。
「つれないなぁ・・・、もっと激甘にイチャイチャしようよぉ」
「本日の数少ない甘さは先ほどのソファーで品切れです」
「はやっ!!ってか少なっ!!デートはこれからなのに・・・」
「そのデートとやらがくだらない抱擁で徐々に時間推されて一秒一秒なくなってますが?」
気が付けば朝食すら食べていない現状に、本気で出かける気があるのかと目を細め時計を示す。
まぁ、まだ8時。
全然時間はあるのだけども。
そして朝食にはちょうどいい時間かもしれないとキッチンに向かい歩き始めてすぐに引き止められる。
勿論彼に。
この期に及んでまだ甘えてくる気かと睨んで振り返れば、さっきとは違いどこか悪戯に男っぽく微笑む彼に眉根が離れた。
「・・・・朝食は?」
「ん?食べるよ」
「じゃあ、この手を離してください」
「嫌、」
「・・・何のおふざけですか?それともあなたが拙い朝食でも作ってくれると?」
そんなつもりないのだろう?とため息交じりに切り返したのに、何故かニッと笑った彼が私の手を引くとキッチンを素通りしてローカに向かう。



