いや、別にデートそのものが面倒なわけでもない。
その為の準備にいまいち意気込めないのが問題なのだ。
だって・・・、
使用前なこの状況をすでに見られ、むしろ私生活共にしている今、相手の反応を期待し服を選ぶのも何かおかしい。
ああ、今更こんな時にリアルに経験した。
夫婦のデートとは恋人のするそれとは身構えが違うと。
たとえ彼とは初デートだとしても。
「・・・夫婦って面倒ですね」
「千麻ちゃん・・・、こんな時ばっか俺との夫婦関係認識しないで・・・」
「これも倦怠期なんでしょうか?」
「さっきまでがっつり愛し合ってたのに倦怠期!?」
「・・・やっぱりやめますか?」
何だかすんなり解決しない問題に、面倒だと不機嫌に中止を促せば。
深く重い溜息をついた彼がスッと私を押し退け数少ない枚数の私服を物色し呆れ声を響かせた。
「本当、千麻ちゃんは変な所で不完全」
「普通の勤務にデートなんて項目はございませんから」
「私生活でも少なそうだね。・・・この雰囲気じゃ」
含みある言葉と視線は数少ない私服を捉えての指摘。
確かにデートなんて頻繁にするような生活じゃなかったし、枚数が少ないのも認める。
でも決してヨレヨレだったり見た目の悪い物はない筈だと、不満げに腕を組んで彼の横顔を見つめれば、
「・・・ま、これが醍醐味なのかも」
「はっ?」
「ん?ほら、さっき千麻ちゃんが言った【夫婦】としてのデートの」
いまいち意図が分からないと片眉を下げると、クスリと笑った彼が手にした服にアクセサリーや装飾品を合わせ始める。
ネックレスやベルト、服に何種か当て上手く理想にはまったのかにっこり微笑みながらそれを私の体に当ててくる。
そして結論。
「一緒に生活してなきゃ、こんな風にデート服のコーディネートも出来ないし・・・。それに結構楽しいや」
満足げに微笑んだ彼が私の体に服を当てたまま、グイッと鏡の方へ誘導してくる。
されるがまま鏡を前に立ち彼が組み合わせたコーディネートの印象の自分を見つめた。
見慣れた自分の服。
なのに組み合わせる人が違うとこうも印象が違うのか。と、新たな発見。
残念ながら乱れた髪やすっぴんの顔が完璧さに欠いているけれど。
「枚数は無いけど・・・、全部センスは完璧だよね」
鏡越し。
背後で笑う彼の賞賛は相変わらず狡い。
タイミングも言い方も。



