「ちなみに、1人目は可愛い女の子がいいなぁ」
「・・・それは後妻になる可愛いらしい女の子に期待してください」
まだ言うか。
そんな風に冷めた目で送りだせば、最後までクスクスと笑いようやく部屋から姿を消す社長である男。
なんだろう、この数分で物凄いセクハラの数々を受けた気がする。
私でなければ訴えていただろう。
うんうんと頷き非常識な親子に好かれた自分の身の上に深く溜め息をつくと、同じタイミングに空腹を訴えたお腹が小さく鳴きだす。
そうだ、お昼を食べに行こうと思っていたんだ。
思いだすと今ほど閉めたばかりの扉に手をかけ今度は自分の為に開くとその身を出した。
さて何を食べようかと様々な物を思案して歩いていれば、不意に入りこむ笑い声。
ああ、まだ女子会が続いていたのかと、なるべく彼女達の会話を遮ることなく気配を消して通り過ぎようとした時だった。
『でもさぁ、正直ウザくなかった?あの婚約者』
歩みが止まる。
凍りついたように動けなくなって、入りこんだ言葉に心臓が強く跳ねた。
そして彼女たちの非情なお茶会は耳に痛く響き始める。
『分かる分かる、たまにこの階来てたでしょ?』
『よく来れるよねぇ。自慢だったんじゃない?自分はJrと付きあってまーす。みたいな』
『たいして美人でもお嬢様でもないくせに調子乗って、結局あっさり水城みたいな地味な女に取られてんの。笑えるよねぇ』
『ってかさぁ、Jrって女の趣味悪い?』
『アレじゃない?体。脱いだら凄い女好きとか?』
どうしよう・・・・・。
ああ、馬鹿ばっか・・・・。
一体何をどこまで理解してそんな口が叩けるのか。
何故意味も無いやっかみを、もう彼の傍を離れた彼女が受けなければいけないのか。
そして傷ついて壊れそうになってまで離れた彼がここまで馬鹿にされているのか。
ねぇ、何を知ってるわけ?
ああ、らしくもない。
感情的に胸が騒ぐ。
自分の事であるのならいくらでも聞きながせた悪態であるのに、こうして感情がいつもより乱れて反応してしまったのは・・・。
さっきの社長の話のせい?



