「ん?なんて事ない、」
大したタネじゃないんだ。そんな雰囲気の苦笑いで私をグリーンアイが捉えて体を向け手すりに寄りかかった。
「魔法をかければ花火が上がる予定だった」
「きざったらしい・・・、魔法なんて言葉にときめくような女だとでも?」
「あっ、信用してない?本当だよ~?こんな風にーー」
パチンッ・・・・・と、彼が軽い調子で指を鳴らす。
それを呆れた眼差しで見つめたと同時に、パッと明るさを増した視界に心底驚く。
本当・・・・どんな魔法よ・・・・ダーリン。
無意識に手すりに張り付くように近づいて、上がるはずないと思っていた花火の彩りに魅了され呆気にとられる。
でも数発。
もし上がるならあそこだろうと読んでいた河川敷の位置からこのマンションの階数には届かぬ位置の花火。
それでも一般家庭で嗜む花火とは違い大輪の物。
唖然としたまま煙残るのその位置を見つめ、ゆっくりと視線を隣の彼に戻していけば。
自分の鳴らした手を見て大げさな驚き顔。
そして納得したような言葉。
「ああ、魔法のかけ方を間違ってた・・・」
「信じらんない・・・・、本当に・・・驚かされる・・・・」
さすがに予想外だと驚愕のまま口にすれば、満足げに笑った彼が馬鹿丁寧に紳士らしくお辞儀して私を見上げる。
グリーンアイが悪戯に光って心底綺麗。
「取り急ぎの・・・・魔法使いの弟子でした。・・・・・でも、どこぞのお城の上で手を振るネズミより・・・カッコイイでしょ?」
ニッと笑って言い切った瞬間に再び彼が指をパチンと鳴らして奇跡を起こす。
魔法を示すように最後にドンと1発上がった花火がパッと鮮やかに濃紺に広がったタイミング。
「HAPPY BIRTHDAY・・・」
ねぇ、全部全部・・・・・狡いわよダーリン?
そのやり遂げたような満足顔ですらも・・・。
「ふっ・・・・・」
ああ、もう・・・・・、
「ふふっ・・・あはははははは・・・・」
「・・っ・・・・・」
堪えていた感情の決壊。
こんなに感情的に笑ったのはいつぶり?
嬉しくて楽しくて・・・・感動的で・・・。
困るほど印象深い。



