「彼女・・・元気ですか?」
「・・・・おかげさまで。仲良く夫婦してますが?」
「ああ、良かった。快くあの指輪を返したかいはありましたね」
「・・・・・取引先副社長に喧嘩を売ってる?」
「・・・それは、解釈の問題かと」
にっこりと微笑んだ男に思わず舌打ち。
ねぇ、千麻ちゃん・・・・本当にさ・・・、
男の趣味どうなの?
何でこんな男とつきあってたの?
しかも2回も!!
と、妻の男の趣味に嘆いても今更だと心を宥める。
それに今彼女を勝ち得ているのは自分なのだと必死に優越も浮上させてみる。
「まぁ、仲良くやっているのなら微笑ましい。彼女は掴みどころ無く難しい人だから」
「その知ったかぶり・・・癇に障る」
「それは失礼、それに、どうやら彼女の好みを把握されてるようだ」
「あっ?」
嫌味な言葉遊びで俺の不快感を煽っていた男が不意に視線をぐるりと走らせゆっくり戻す。
不愉快全面表示でそれを確認して視線を絡めると、にっこりと微笑み再度の嫌味。
「この店は彼女好みだ」
「だから・・・知ったかぶりやめろ。それに今日は彼女はいないよ」
「・・・・は?」
「接待だよ。馬鹿な勘違い女の我儘の会食」
「・・・・じゃあ・・・千麻は?」
「呼び捨てにすんな。・・・・家で留守番してもらってる」
「・・・・今日?」
「あっ?だから今現在」
「・・・・1人で?」
「しつこいなぁ・・・」
何なんだよ!?
そんな勢いでぶっきらぼうに言葉と視線を向ければ、さっきまでの微笑みの不在。
どこか唖然とした表情で俺を見つめ、その表情に疑問走らせた瞬間に噴き出し笑われた。
「ふっ・・はは・・・」
「なんだよ!?」
「いや・・・、今夜彼女がフリーだって知ってたら・・・・俺が誘って高級な彼女好みのレストランで奢ってた」
「おい・・・堂々と人の奥さん口説くような宣言すんじゃねぇよ」
「人の奥さんねぇ・・・・」
非難するように睨みつければ、嘲笑交じりに方眉上げての嫌味な微笑み。
そして含みある言い方にムッとしつつも疑問も走る。
言い方がなんか引っかかる。
どういう含みか探るように天敵と言える男を観察していれば、不意に腕時計で時間を確認した姿が俺に視線を向けてきた。



