「きっと・・・本当に安らぐ時間がないのでは?」
「・・・・・と、言いますと?」
「いくら好きあった存在と言えど、多少なりの秘密や介入許さぬテリトリーがあるもの。・・・それが公私共にとなると息がつまることも少なからずあるのでは?」
まるで・・・そんな心理に理解ある聖母のような言葉と微笑み。
そして偽善的に優しく触れてくる彼女の手。
要は・・・自分がその息抜きの対象になるとでも?
あまりの含みに思わず噴き出しそうになるのを堪えて、ただ目を細め彼女の言葉に微笑み落とす。
「また・・・こうしてお会いできるお約束は可能でしょうか?今度は・・2人で、」
「それは・・・・、モラル的に反した逢瀬に取られかねない行動ですが?」
「・・・・・・・何故、・・秘書である方を奥様に?あなたであればもっと格式ある相応な女性がいたのでは?」
俺の言葉に一瞬思考した後にわずかな話題の切り替え、でも根本は一緒で今度は俺の婚姻に対する選択の過ちを指摘したいらしい。
今現在の結婚は過ちであると。
考え直せと言いたいのか・・・。
「秘書である彼女は・・・私の相手には不足だと?もっと・・・家の位高い・・・上品で、清楚で、理解のある・・・あなたのような女性が私の妻であるべきだったと?」
そっと彼女の頬に柔らかく指先走らせ微笑んで言わんとしたいであろう言葉を確認してみる。
俺の表情と仕草でより一層その笑み強め夢見心地に揺れる彼女は期待に満ちている。
近く・・・自分が俺の隣に並ぶ存在だと・・・。
馬鹿な女。
「つまり・・・・あなたは大道寺を紡ぐべき新たな奥方の存在に異を申し立てたいわけだ・・・・」
「・・・・・・・はっ?」
「そして・・・時期総統にあたる俺の目は節穴だと・・・、大道寺根本を貶したいと・・・そういう事でしょうか?」
「・・っ・・・私はっ・・・」
恍惚としていた表情から血の気が引いた。
みるみる動揺に染まる見た目だけ綺麗な顔に好意的でない微笑みを向け静かに攻める。
あんまりさ・・・・俺の千麻ちゃんを馬鹿にしないでほしいんだよね。
「参考までに・・・・、彼女を選んだ理由は、、
まず、俺を色眼鏡で見ない。
俺から求めて歓喜するのは愛情の言葉じゃなく、仕事の上での賞賛。
決して公私混同する事はないし、目に見えて偽善的な理解を示したりもしないし、もちろん束縛もしない。
俺に望むのは寵愛ではなく信頼。
そして俺自身の向上。
付け加えれば・・・・飴と鞭の巧みな駆け引きと・・・、
床上手?」
「・・・・・・・」
「ああ、あと・・・・誰にも負けない自然な美貌・・か」
お嬢さん・・・・必死で粉叩いて作り上げた美が歪んで見えて大変ですよ?



