夫婦ですが何か?




触れ合えばもうそれこそ欲求の引き金。


食いつくように重ねたくせに密着させればしっとりと這うようにキスを交わす。


リップノイズすら発生しないくらいしっとり濃密に。


気が付けば必然のように彼の首に腕を回していて、彼の手も私の背中でその存在を示す。


トンと自分の頭や背中が扉に触れて、それが合図のようにゆっくりと触れあっていた唇が離れた。


でも本当にゆっくり、まるで急に離したら何かが起こるんじゃないかと怯えるように。


そうして徐々に光を通すために上げた目蓋が完全に開ききれば、捉えるのは当たり前である彼の緑。


これはオプション。


頬に触れる彼の指先。



「・・・・・寂しくなんてありませんから」


「ふっ・・・、そう?」


「むしろ気楽で久々に手抜きできます」


「いつもは気合入れてくれてるんだ?」


「・・・・・でも、・・・晩酌は待っててあげてもいいですよ?」


「・・・・一人じゃ寂しい?」


「・・・・先に呑んでたら・・・寂しいでしょ?」


「・・・狡い」



決して自分の寂しさを認めずに可愛くなくオウム返し。


それでも充分に本音は伝わると、まるで目の前の私が心底愛らしいとばかりに微笑んだ彼が再度唇を重ねるとすぐに離す。


『ごめん』


そんな言葉の代わりのように。



「・・・・・起きて・・待っててよ」


「・・・・時間によります。あとは私の眠気次第かと」


「千麻ちゃんは眠気に弱いからなぁ・・・、でも・・・頑張って起きてて」


「・・・何故?」



寂しいから。


そんな理由からの言葉かと思った。


でもクスリと笑った彼がこれ見よがしに誰もいるはずのない部屋をキョロキョロと確認してから顔を寄せる。


スッと耳元に寄った唇に怪訝に眉を寄せると、そのタイミングに吹き込まれた言葉。



「【生粋】での高い鰻を無駄にしたくないじゃない」


「・・・・」


「千麻ちゃんが寂しかった事なんて一瞬で忘れちゃうくらい激しくて熱いエッチしちゃおうよ?」


「・・・・・・・馬鹿。心底・・・馬鹿ですね」



呆れた。


そんな表情と声音で目を細めて彼を見上げるのに、彼ときたら堪えるでもなくニッと微笑んで頬に触れていた指先を悪戯に下に滑らす。


そしてスーツの上からでは更に平坦な胸の位置にまで下すと、スッとスーツの内側に滑り込んでシャツの上から掌全体で軽く揉んだ。