「仮に・・・一妻として『非常識だ』とか『浮気じゃないか』とか私が不満を言ったとして、あなたが夜その場に出向かわなければならない事実は変わらないんですよ?」
「それは知ってる。・・・・行くよ、それは勿論」
「じゃあ、万が一そんな決意揺らぐような私の言葉を得たとしたら逆に行きたくなる方に拍車がかかるでしょうが」
「そ、そうだけど・・・・っ・・それなりに妬いて寂しがってほしいんだよ~。そりゃ、前回までの関係なら言われなくても分かるけどさ・・・、今は・・・多少・・・もう少しは、妬いてくれるほどには関係強まったかな?って・・・己惚れちゃってた俺としては・・・・」
「・・・・・接待でしょ?」
「はい」
「別に浮気しに行くでもなし、【たまたま】その裏を知っていただけの事で、いちいち妻が仕事の接待に苛立つのもおかしいでしょう」
「・・っ・・もう・・いい」
あっ、不貞腐れた。
腕を組んで淡々と持論で返していれば、さすがに諦め不愉快に顔を背けた彼。
ああ、成長したかと思えばそうでもない。
デジャブすら感じそうな彼の不貞腐れた姿に小さく息を吐くと、それすらも今は悪意に感じるらしい。
スッと離れ始めた姿の内心は多分不満で構築されている。
困った人。
まぁ、私だって・・・。
私だって・・・なんですよ?
「・・・さっきから気になってたんですがーー」
「あっ?」
投げかけた声に不機嫌に返し振り返った彼。
それは予想済みだったから怯むでもなくその姿に近づいていく。
苛立ち見せるグリーンアイがしっかり私の動きを追って、目の前に立つと細め私を見下ろした。
「首・・・どうなさったんですか?」
「はっ?何?」
「ココです。ちょうど・・・襟で見えるか見えないかの・・・」
言いながらネクタイを緩め怪訝に眉根を寄せながら彼の首を示していく。
彼も問われた事に思い当りが無いと眉根を寄せて、されるがままに私に身を任し。
シャツの第2ボタンまで外すとその部分を確認するように襟を指先で軽くどけた。
「ほら、ココ・・・」
「なんかなってーーー」
彼が疑問を口にしたタイミング。
グッとネクタイを引き落として今まで示していた部分に唇で触れた。
直後・・・。
「ーーーっ・・・痛ってぇ!!」
私を掴んで引き離しながらの彼の絶叫。
それにしてやったりと微笑むと、首を押さえて驚愕の表情を向ける彼に赤い舌をぺろりと覗かせた。



