「・・はぁ・・・・・、『行かないで。って言ってよ。もっと寂しそうにして。妬いて・・・引き止めて・・・』そんな・・・ところでしょうか?」
「・・・・はい、見事丸見えで羞恥心疼くくらいですよ。下手したら丸裸にされてるような・・・」
「・・・・黒のボクサー、ゴム面にパープルライン」
「はっ!?」
言われたように視線を彼の体に走らせゆっくり戻すとそう告げると、一瞬の驚きの後に慌てたように自分の視線も落とした彼に思わず噴いた。
今告げたのは彼の身に着けている下着のデザインで、別に本気で透視したわけではない。
見えていたわけでもないし、単純な種明かし。
「そんなに驚かれなくても・・・一緒に生活しているんですから穿いている下着くらい知っていても不思議じゃないでしょう?」
「・・・・俺、千麻ちゃんが着けてる下着知らないけど・・・」
「・・・・赤のTバック・・」
「えっ!!」
「・・・・なんて持ってません。黒で飾り気のない上下セットです」
「すみません。逆にこう・・・萌えるんですが・・・」
「・・・・・・・話の軌道修正お願いします」
いつの間にかお互いの下着の話に移行していた会話を強制的に巻き戻す。
そうして戻るのは彼の我儘な甘えの要求で、下着の話の方がましだったかもしれないと一瞬後悔。
それでも見事彼の意識もその部分に舞い戻り、再び困ったように眉尻下げると私を見つめた。
ああ、もう・・・その捨てられた子犬のような顔やめろ。
「副社長」
「・・・はい」
「副社長・・・なんですよ」
「はい」
「私はそれをサポートする秘書なんですこの会社では」
「うん・・・知ってる」
「なら、答えはお分かりでしょう?何を期待しーー」
「【秘書】としての答えは充分なほど理解してるよ。・・・・でも、・・・・俺の奥さんの千麻ちゃんとしては・・・妬いたりしてくれないの?」
言いながら左手に絡んでくる指先。
そのまま薬指の金属に触れお互いの関係の強調。
仕事でなく、この指輪の関係での私の反応が知りたいと眉尻下げどこか不安げに私の顔を覗き込む。
とことん・・・。
甘えっこの馬鹿な男ね。
それを確認したところで避けられない時間だというのに。



