「へぇ・・・」
はっとその事に気が付いたのは義父の含みある響きと表情で。
慌てて口の端を下げても手遅れで、しっかり確認された笑みに悪戯に微笑む嫌味なグリーンアイ。
挑むように見つめ返すと、小さくクスリと笑った姿がゆっくり息を吐いてから背中を向けた。
「ま、それなりに上手くやってるようで安心したよ2人とも」
「まぁね。常に前進して同じくらい後退してるけどね」
すぐに嫌味な返事を響かせた彼がため息交じりに私を見つめ、それに対して目を細めて非難する。
不満であるならやめるぞ?
そんな眼差しで。
「仲いいのは微笑ましいし大歓迎。職場でいちゃつくのは羨ましく目の保養。・・・だけど・・・実績落ちるような事態になったらそれなりに処罰は下しちゃうよ?」
にこやかに鋭く向けられた姿と言葉。
これは牽制。
大目に見るけど手抜きはするな。
そんな社長としての含みある脅しにさすがに真顔でまっすぐに立つと頭を下げる。
「そんなヘマするような俺じゃないし。余計な心配するより俺に追い抜かれないように気をつけたら?」
彼と言えば社長というより父という概念の方が強いのか、こんな牽制に怯むでもなくいつもと変わらず反論交じりの返答を響かせた。
そんな彼に怒るでもなく微笑む義父もすでに社長というよりは父親の顔だ。
「まだまだ・・・千麻ちゃんの事すらまともに扱えてないお前には負ける気しないよ」
勝敗。
グッと押し黙った彼の完敗。
見事勝者となった義父がクスリと笑うとその姿を扉の向こうに消していく。
ようやくにぎやかだった空間の静寂。
貰ったマカロンを手に自分のデスクに戻り始めると、すぐに引き戻しにかかる彼の腕に捕まった。
何か?
そんな反応を視線で向ければ、どこか何かを望んでいるような複雑な表情のグリーンアイが私を見下ろした。
「・・・・・・私は・・・エスパーではないんですが?」
「俺限定で・・・そうでしょ?」
だから・・・分かるでしょ?
そう言いたいのか。
だとしたらその返事を返すならYES。
あなたの思考なんて読む必要もなく理解しているのよ。



