ああ、おかしい。
私が言うのもなんですが今勤務中ですが?
他の下役の社員たちが必死に仕事している中でこの会社の2トップが秘書にセクハラ三昧な日中って・・・。
ダメだこの会社。
心で心底呆れながら静かに箱に蓋を閉めていく。
それでも確かに心浮れるようなその贈り物は後で堪能しようとわずかなテンションの上昇。
だけどもどうやら疑問の解消になっていなかったらしい彼が未だ怪訝な表情でその箱を見つめてから父を見つめる。
「でも、・・・何でいきなり千麻ちゃんにだけマカロン?俺は?」
「はっ?」
怪訝な表情の問いに珍しくその表情に驚きを見せた義父が一瞬の不動の後に私に視線を移してくる。
『どういうこと?』
そんな眼差しに慌てるでもなく真顔で見つめ返して小さく首を横に振った。
それで十分意味が通じたらしく口元をその手で押さえた義父が次の瞬間には噴き出して背中を向けた。
「はっ!?何?何でいきなり笑い出してんの!?」
「いや・・・、なかなか10%からの上昇は厳しいなぁって」
「意味わからん・・・」
「まぁ、そのうち分かるさ。これは今日大事な旦那さまをお借りする、俺から千麻ちゃんへのレンタル料みたいなものだから」
「・・・・そしたら中身の半分はお返しした方がいいのでしょうか?」
「千麻ちゃん・・・酷くない?俺の価値ってそのマカロン一箱にも値してないの?千麻ちゃんにとって・・・」
「冗談です」
わざわざ箱の蓋を再度開いて返品を確認すれば本気でショックだったらしい彼のへこみ様。
思わず噴き出しそうなのを堪えて『冗談』だと告げると、目の前の義父が代わりに笑う。
どこか恍惚とした表情で。
「いいね・・・、千麻ちゃんとは気が合いそうだよ。・・・・好んだものを苛め抜く面で」
「・・・・・つい、自分の言動行動に怯んでる姿を見るとワクワクしてしまって・・・」
「今度・・・縛る方法でも伝授しようか?」
「手ほどき・・・お願いいたします」
「ねぇ・・・会話が怖いんだけど2人共」
もういくら自分がまともな助言で仕事引き戻そうとしても無駄だと判断。
そして義父の言動に悪乗りして便乗すれば心底どん引きしている夫である彼。
そんな彼に心から満足するとまっすぐに見つめてから一言。
「冗談です」
「・・・・なら、よかっーー」
「半分は」
「リアルすぎて超恐い・・・」
もう苦笑いすら浮かべられないらしい彼の姿に、今まで堪えていた物の限界で口の端を思わず上げた。



