興味ないと視線を外し、まだ水を与えてない植物に意識を移すと、ようやく彼もその手にあった鉢を元の位置に戻した。
それでも確かめる様に数珠繋ぎに連なった緑に触れ、類似する様なグリーンアイで見つめている。
まるで緑の補給。
そんな風に感じながら最後の鉢に水を与える。
「なんか今日は千麻ちゃんの好きな物いっぱい知れる日だなぁ。ラッキーDAY?」
「・・・・・私にとってはアンラッキーDAYですが・・・」
「・・・千麻ちゃん、そんなに俺に自分の事を知られるのが嫌ですか?」
「・・・・・いえ、あなたの懸念してるような意味のアンラッキーではないのでお気になさらず」
こっちの話だと会話を切り上げジョウロをゆっくり所定の位置に戻していく。
私の言葉にどうもすっきりしないのか怪訝な表情で彼が見つめ、結局気になったのかちょこちょこ近くに歩み寄ると私の顔を覗き込んで疑問をぶつけた。
「今日・・・何か問題あり?」
「・・・いえ、まぁ、些細な・・・」
「あっ!!生理?それでイライラ?」
「・・・・・・デリカシーないですね。それにそんなに頻繁にきませんよ。私別に不順じゃないですから」
「へぇ、じゃあ、割と正確に来る?この前きたのっていつだっけ?」
「この前は・・・・」
そこまで言いかけてフッと気が付く。
そして乗せられるかと非難するように彼を睨み上げれば、悪びれずに赤い舌覗かせ微笑む姿。
「騙されませんよ」
「ねぇ、残念」
「あなたの事だから私の生理周期把握してさりげなく子作り目論んでそうですが・・・」
「うん、自然に。ってのもなかなかだけど、今の時代まずは計画的に動いて体調把握が必要かなって」
「・・・・例え妊娠したとして・・・・、産むか産むざるかは私次第だと思われますが?」
「うっわ、恐っ・・妊娠した際には監禁が必要?」
「・・・・・・・今すぐ離婚しますか?」
「すみません。・・・調子に乗りました・・・」
へラッと楽しげに終わりの見えない会話を続ける彼に軽く苛立ち、決定的な言葉の印籠をかざせば見事ひれ伏し視線を逃がす。
苦笑いで【触らぬ神に祟りなし】と黙する彼に満足すると、自分のデスクに戻り始めたタイミング。
歩み始めた足は数歩で止まり、逆に後退するように引き戻されあの匂いに包まれた。



