それでも収まらない感情で彼の頬を軽く叩いてみると、それは予想内だったのか受けても無言で指輪を私に差し出した。
彼の手にあるそれを震える指先で触れてそっと抜き取り、確かめるように両手で握りしめるときつく目を閉じ涙を零した。
そして体を折り曲げ嗚咽を漏らすと、彼の手がポンポンと私の頭に触れて困ったような声を響かせる。
「・・・わからないなぁ。・・・・・千麻ちゃんだけは・・・・・本当に攻略できない・・・・」
「・・・・」
「・・・冷めてるのか・・・情熱的なのか・・・・、全然読めなくて振り回される・・・・」
心底困ったような響き。
手に負えない。
そんなような響きにやはり私たちは相性が悪いのだと感じ切なくなる。
そう、馴染んで心地いいと思っても。
分かり合ってると過信しても、こうして肝心な部分ですれ違いが生じる。
この先もこんな?
きっと彼も身に染みたはず。
この関係に望むような繋がりがないと。
だから・・・さすがに言うでしょ?
『別れよう』
「ますます欲しくなる」
響いた予想外の響きに涙が止まった。
不動になり反芻して理解して、まさかと思って顔を上げる。
そうして捉えたのは困ったように眉尻下げて微笑む彼で、躊躇いがちにその手を伸ばすと涙で濡れている私の頬に指先を這わした。
「・・・・・・・【売女】は・・・失言だった。・・・・ごめんなさい」
「・・・・・・」
「気色悪くもないです・・・・、こうして触ってたい」
「・・・それから?」
「・・・・【こんな】じゃなく・・・指輪・・・大事にしてくれてて嬉しいです」
「・・・それから?」
「・・っ・・・・・千麻ちゃんを・・・・独占してたいです」
「・・・・・・馬鹿じゃないの?」
言葉を求めれば気まずそうに言ったことを否定していく姿に小さく優越。
そして最後に独占欲の継続示す言葉を口にした彼を詰ると、さすがに不満げに顔を歪めた彼が何か言い出そうとするのをすかさずその手で塞いで止めた。
揺れるグリーンアイが理由を求めて見つめ、それにゆっくり言葉を返す。
「・・・・愛なんて・・・まだよくわかりません。・・・・このいちいち反応する感情も愛や恋に区別するには小さすぎて・・・」
「・・・・・・うん」
「でも・・・・・・、独占欲は・・・理解できる」
彼が私に持ち得るそれを受け入れ同調すれば、不安に揺れていたグリーンアイが驚きに染まる。



