・・・・のは、一瞬。
すぐに血の逆流感じ、次の瞬間には彼の胸座掴んで手が痛むほど横っ面を張った。
予想外だったのか驚愕した彼がすぐに眉根を寄せ私に挑むように視線を戻し。
・・・・沈黙。
同時に再度の驚愕。
大粒の涙を流し憤怒の形相見せる私に。
「・・・っ・・・・夫婦の絆なんて・・・しらな・・・っ・・・」
「・・・・ちまちゃーー」
「ただ・・・・、あなたが・・・初めてくれたものだから・・・、代わりがきかな・・から・・・・・、
でも・・・【こんな物】?!」
「・・・・・っ・・、ちーー」
「売女で・・・・・っ悪かったわね!!」
何かを言おうとして手を伸ばしかけていた彼を突き飛ばすと、勢いのままベランダからリビングに駆け込む。
そのまま玄関に向かって駆け出して靴も履かずに扉に手をかけると、慌てて追いついた彼の腕に捕まった。
「・・っ・・・離せっ!!」
「ちょーーーっ、だって、・・待って待って・・そんな恰好でどこ行く気!?」
指摘された格好はいつもの部屋着ルックで当然パーカーと下着以外は身に着けていない。
「関係ない!!」
「いやっ、あるから!!問題大有り!!」
でも、だからどうしたと抵抗して振り切ろうとすれば、彼も彼で掴むだけでなく後ろから羽交い絞めにして抑え込む。
「離してっ!!気色悪いんでしょ?!私なんてもう失望して嫌気さしたんでしょ!?ご希望通りに指輪見つけたら出て行ってやる!!」
「阿保ぉ!!話が飛躍しすぎだよ!!ってかあんな小さいの見つかるか馬鹿!!それに天下の大道寺の奥様がそんな格好で外徘徊するなっ!!」
「だからっ、離婚ですよ離婚!!指輪が見つからないなら好都合!見つかっても質に入れて今後の生活費に充てますから慰謝料も結構です!!」
「ああ、そ、じゃあ、千麻ちゃんには悲報だよ!そのご希望の指輪ならここにあるしっ!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
玄関で暴れて抑え込まれての攻防戦を繰り広げ、結果彼が差し出したそれで静寂が戻る。
後ろから押さえこまれたまま目の前に突き付けられたそれは確かに私の指で輝いていた指輪だ。
お互いに息を切らしながら沈黙し、私の抵抗止むと彼の抑え込んでいた手も緩んで息を吐いた。
「・・・はぁ・・・・、本気で捨てるわけないじゃん」
呆れたような声の響きと、失ったと思った筈の輝きの存在に脱力した。



