夫婦ですが何か?





それに怯んだ妹の声が『ごめ~ん』と緊張感なく響くのに苛立って息を吐いた。


本当・・・妹らは可愛くて好きだけれど、肝心なところで抜けているのに腹が立つ。


それでも大事には至っていなかった事にだけ安堵し、なるべくその足を速めようと意識を運転に集中し始めた瞬間。




『で、でもでも、安心して。大丈夫だよ。恭司様がついててくれてるし』


「・・・・・・・・・・・・・・・はっ?」


『千麻ちゃんと知り合いでしょう?なんかこの会場管理してる会社の人で、昨日も色々助けてくれたんだぁ』




嬉々とした妹の発言に思考が停止する。


でもすぐに再起動すると瞬時に思い出すあの匂いと存在。


瞬間、殺意も交じりそうな舌打ちが零れ、雑音煩わしいと通話を切った。


合点がいく。


どこか不自然だった昨夜の会話。


そして今日の【一応】の理由の不明。


俺に言わず。


更に俺に内緒で。


今日も俺の来訪掻い潜って密会しようと思ってたわけ・・ね。


理由は知らない。


と、いうか・・・どんな理由を告げられても許せそうにない。


彼女らしからぬ秘密主義なこの逢瀬を。


どんな形でもその事実には不機嫌になるだろうけどさ、今までは俺に嘘偽りなく宣言してきたじゃん。


昨日の再会だって特別後ろめたさなければ俺に言えばよかったのに。


何で・・・あんな風に話題逸らしてまで誤魔化したの?


ねぇ、・・・・嘘ってさぁ、どんなに積み重ねて大きくした信頼も簡単に突き崩す力があるんだよ?





「千麻ちゃんの・・・馬鹿」





胸がざわめく。


怒りか悲哀か。


言いようのない苦しさを基にアクセルを踏み込んで先を急いだ。