夫婦ですが何か?




言葉も視線も泳いだのが私の不覚。


それを捉えた彼がすべて理解しているかのように悪戯にニッと笑うと私の頬に指先を滑らせる。


その先はもう・・・・必然。


・・・よね?



「・・っーーーーー」



重なった唇に目蓋をゆっくり下して完全なる無抵抗。


それすらも予想済みだと私の反応を確かめるでもなく交わされるキス。


角度を変えて啄んで、ようやく引いた熱が再浮上しそうな程。


もっともっとと貪欲になりかけた瞬間。


スッと離された唇に僅かばかりに驚き瞳に映し、彼のグリーンアイを疑問に見つめて軽く後悔。


そこにあるのは意地の悪い彼の笑みだったから。



「とりあえず・・・・どうやら千麻ちゃんの10%の中ではこんなキスは実現可能ってことだよね」


「・・・・むかつく」


「ははっ、肯定ってことだ」



意地の悪い言葉遊びに、酷く簡単で程度の低い反応を返してしまったと反省。


結果上機嫌に笑う彼が『可愛い』とばかりにまだ近くにあった唇を私のへの字の唇に押し付け抱きしめチュッと音を響かせ離れた。


顔だけ。



「千麻ちゃんのその不安・・・気づいてない程馬鹿じゃないし、無視したり軽んじてもいない」


「じゃあ、何故こんな愛嬌もない不愛想な秘書に固執を?」


「ん~・・・・スルメみたいだから?」


「・・・・・・・・・・すみません。一度ぶっ殺していいですか?」


「あはは、それそれ。何ていうか・・・一緒にいればいるほど新しい千麻ちゃんの魅力にはまるっていうか・・・・、その味が本当に未知で甘美で癖になるっていうか・・・・・・、まぁ、そういう事です」


「で?スルメ?・・・・文字通り体系もスルメのように薄っぺらいですが?」


「うん、そこが今の悩みかなぁ。ちゃーんと養って食べさせてるはずなのになぁ。その細さはちょっと心配」


「っーーひゃあぁうっーーー」



言いながらクスリと笑った彼がおもむろに指先で背中をなぞったのに不意を突かれて変な声を出す。


その瞬間に思いっきり噴き出した彼を本気で殺してやろうかと首に指先絡めそのままの勢いで押し倒した。


ベッドが軋んで彼の笑いが少し薄れる。


そして憤怒の表情で綺麗なグリーンアイを見下ろせば、すぐに頬に触れてくる彼の指先に馬鹿みたく怒りが緩んだ。



「・・・・・こんな時間も凄く好き」


「ご機嫌取りですか?」


「本当に好きで癒されて大切だよ。・・・・こんな風に見下ろしてくる千麻ちゃんも綺麗なんだな。って再確認するし」


「騙されません」


「・・・・・本当だよ?・・・・・だから、・・・誰にも触らせたくないし、見せたくない」


「・・・・・・」


「これも【仕事】の範囲なら命令できて、千麻ちゃんもすんなり聞き入れてくれるのかな?」




ゆっくり近づいていた顔には気が付いていた。


気が付けば自分の指は首から外れて。


徐々に狭まる距離に気が付かないふりして言葉を交わした。




「・・・・・何が?」


「・・・・・・俺以外に触らせないで」


「ああ、それは・・・【仕事】外ねダー・・」




飲み込むように重なった唇に心臓が強く跳ねる。


全部全部・・・狡いのよダーリン。