信じられない物を見るかの様にグリーンアイが私を捉えて目蓋を瞬かせた直後。
「・・・ちょ・・ちょっと待って、」
「はぁ、・・・いくらでも」
「プラトニックって・・・、えっ?・・・俺と千麻ちゃんエッチしないの?」
「本来する様な間柄で無かったと記憶しますが?」
「いや・・・、そりゃ、そりゃね!副社長と秘書がなんの感情も無いのにガツガツとそういう事してたら変だよ」
「はい、仰る通りかと」
「何これ・・・会話が軽くふりだしに戻ってるって!?」
何で!?
そんな焦りを見せ動揺した彼がガシガシと更にその手で髪を乱す。
彼の取り乱す様を特別言い訳する事なく見つめて不動になっていれば、ようやく落ち着こうと息を吐いた彼がゆっくりその視線を私に戻した。
「ごめん、突然のその言葉の裏にある心情を説明頂いても?」
まだ僅かに動揺を見せつつ、さっきよりは確かに冷静を纏う。
それを感じながら問われた理由に意識走らせ、浮かんだそれを見つめる様に空(くう)を見つめること数秒。
そしてゆるゆると現状で感じるそれを口にしてみた。
「結論・・・、」
「うん、」
「最近気がついたんですが・・・。私、あなたの事は多分恋愛における範囲に含む事出来る人だと思うんですよ」
「・・・【最近】やっと気がついたのかよ」
「はい、ごく最近に。そして何かの間違いかと自分の中で何度も確かめてみたり」
「何度も確かめるくらい認めたくないと」
「いえ、認めようとしても阻む物が大きすぎるというか・・・」
「ここに来て何がどう阻むってのさ?!」
確かに【ここ】に来て。だ。
ベッドの上で、それなりにキスや前戯的行為を経験し、今だって裸で向かい合ってる。
そんな関係にまで来て何故?!
彼の心情は正論だろう。
そして確かにあなたの言う通りふりだしに関与する問題。
「仮に最初の出会い方が違えば、」
「何その安いドラマ的なセリフ」
「ぶっちゃけると5年も奉仕した副社長って前提強すぎて、そう簡単に感情の眼鏡を付け替えられないんですよ」
躊躇うことなく最初からの、もうどうしようも出来ない問題を口にすれば唖然とした彼が口の閉まりを悪くする。



