重なって奪われる酸素にグラリとする。
すぐに滑り込んで絡む舌の熱さに眼が眩む。
下から塞ぐように重なった唇に上からしっかりと塞いで彼の首に腕を回した。
私の腕を掴んでいた手が肌を滑って当然のように胸に触れて揉みあげて、その感触に高まる熱に心音も速まる。
その瞬間。
特別何か仕掛けてきたわけじゃない。
彼の手が私の体を更に引き寄せようと背中から腰にその手を滑らせただけ。
なのに、
「・・っ・・・あっ・・・やぁぁっ・・」
浴室は異様に声が反響する。
思ったより大きく響いた自分の声に駆け上る羞恥心。
そして同時にゾワリと走った感覚に身悶え咄嗟に彼を押し返してその手を逃れると、元いた反対側のへりにトンと寄りかかって口を塞いで俯いた。
当然、突然のそれに驚愕し反対側で不動の彼。
ただ波打つ水面だけがその騒ぎの余韻を示して、ゆっくり落ち着きを見せてくると彼の声がようやく響いた。
「えっ?・・・・な・・に?」
「・・・・」
「ちょっ・・・千麻ちゃん?下向いてるけどへいーー」
平気?
そんな風に心配して伸ばしてくれた手と声だと理解はしている。
なのにビクリっと反応し、その反応にも自分で驚き取り繕うように顔を上げて失敗したと思った。
瞬時に絡んだグリーンが驚気を見せて、みるみるその顔にも赤みがさす。
でもきっと・・・・私よりはマシ。
自分でもわかる今の私は眉尻下がり完全に怯んだ赤い顔だと。
そして彼がそうなったいきさつを自分なりに探るように手のひらに視線を走らせ、しばらく見つめた後に半信半疑で私を見つめた。
「もしかして・・・・・、腰や背中が弱かったりする?」
あえてその質問には答えない。
でも更に俯いた顔と耳まで熱を持ったそれで彼には十分な答えになってしまった筈。
ドキドキと暴れる心臓が鬱陶しい。
耳の奥で鳴り響いているようなそれに動揺が更に強まるというのに。
そして嫌な弱点をこの男に知られてしまったという状況。
「ふぅん・・・」
含みのあるような声音に純粋にドキリとした。
恐る恐る視線を向ければ、熱っぽい表情で私を見つめて僅かに口元に弧を描く。
「結構・・・・煽られちゃた・・・千麻ちゃんの可愛らしい声に・・・」
あっ、久々にその主導権を奪われた気がする。



