「やっぱり・・・俺のそばには有能な千麻ちゃんが必要なんです」
狡いわね。
そんな仕事の含み交えての言葉に・・・私が平常心でいられるとでも?
やはり自分の才能認められる言葉には素直に反応する心。
ドクンと心臓が強くなれば、それに作用した熱が顔の色味を変えていく。
ただ、ここが言い訳きく浴室でよかったと思うほど。
顔が赤い言い訳がお互いにつけられる。
濡れている肌を滑る彼の手が私の指先に到達すると、決して力のこもっていなかった私の指を解き書類が湯船にひらりと落ちる。
あっ、と思っても、拾い上げるより先にそのまま引き寄せられてザバリと波打った水しぶきと共に彼の腕の中に捕まった。
跳ねた水滴がお互いの頬に付着し滑り落ちて、彼がクスリと笑うと言葉を落とす。
「家の風呂でまで秘書業務はいらないよ?」
「・・・・・なら、あまり他の秘書苛めは程々に」
「えっ?」
「・・・・私以上にあなたを理解し先回りする秘書はいないという事ですよ」
揺るがぬ自信でニッと微笑む。
それは絶対。
私以上に彼に有益な秘書は存在するはずないのだ。
他の事は知らない。
それこ恋愛や夫婦生活におけるような事には自信はない。
ただ一つ、仕事で得た信頼や絆は誰にだって負けるわけにいかないのだ。
プライドであり誇り。
彼の最高の理解者で支持者は私なのだ。
そして緩やかに含みながら微笑んで、その半身を湯船から出すと彼に跨るように底に膝をつき。
僅かに驚き孕む彼のグリーンアイを見下ろし覗き込んで両手で頬を包み込んだ。
「他の秘書にいくら私と同等を求めても無駄なこと。・・・あなたも類似したものじゃなく・・・・求めているのは私その物でしょう?」
「・・・・っ・・驚くほど妖艶だね千麻ちゃん」
「・・・・・・失礼しました。趣向に合わなかったのであれば今すぐにーーー」
すぐにでも退く。
決して彼は『合わない』と言わないことを理解しての悪戯な言葉遊び。
だからこそ意地悪に口元を歪め、その目を細めてスッと離れようとすればすかさず掴まれ彼の上に戻された。
「・・・・意地悪しないでよ。これでも今日一日千麻ちゃん不足に耐えたんだから」
「大げさです」
「・・・・・大げさじゃない。・・・千麻ちゃんももっと俺を恋しいって悶えてよ」
その言葉にクスリと笑う。
そんな条件・・・・、この契約にあったかしら?
ねぇ、ダーリン・・・・。
「私が言いたくなるほど悶えさせてよ・・・ダーリン?」
その言葉が引き金?
弾かれたように彼が動き水面が騒ぐと唇を塞がれた。



