イライラする。
悔しくて悔しくて・・・。
完全に負かされた気がして。
もう何度目の舌打ちなんだろう。
自宅のリビングのソファーでまったく内容を頭に入れていないTVを響かせ爪を噛む。
すでにメイクや衣装は取り去って、いつもの部屋着でその時間を迎えている。
そして何に苛立ったかといえば、彼女らの売り込みステージの失敗。
・・・・ではなく、予想以上の大成功にだ。
いや、それも違う。
それに少なくとも確かに影響したであろうPVだ。
腹が立つ。
私が作ったものより数倍も手がかかっていて、あの衣装やブランド名を持ち上げるものであった。
しかもそれを、あの去り際の瞬間にあっさり苦も無く作り替えたのが気に入らないのだ。
まるで自分の方が優れていると示してきたみたいで、私が劣っているとでも言いたげな。
悔しい!
でもそのおかげで彼女らは出だしを好調に切ったのだ。
いや、彼女らの実力が大半のはず。
でも・・・・悔しい。
そうした葛藤でステージからまさに今までずっと苛立ちの継続で、相反する彼女らは高揚したまま疲労ですでに就寝中だ。
そう、時計の針は9時半を回り早い人であるなら睡眠をとっていてもおかしくない。
じゃあ・・・・
何故、我が夫はまだ不在?
本来この苛立ちを酒で逃したいくらいなのに、一応彼を待って我慢していたというのに。
なかなか戻らぬ姿にさすがに9時半を確認したところで怒りが半減した。
おかしい。
いつもはこんなに遅くはならないというのに。
何かトラブルだろうかと、うるさかったTVを切りテーブルから携帯を持ち上げたと同時。
ガチャリと響いた開錠音に持ち上げた携帯をテーブルに戻して玄関に向かった。
薄暗いローカに明かりを灯しながらその姿をとらえると、まさに靴を脱いで俯いている姿に声をかけた。
「随分遅かったでーーーー」
すね。
言葉を飲み込み、何となく察して口を閉じた。
私の声にフッと上がった顔の不機嫌な事。
ムスッとした表情の理由は言わずもがな・・・だ。
苛立ち疲労露わの彼がゆっくりと歩いて近づくと、私の前に立った瞬間に必然のようにきつく強く抱きしめてきた。
「・・・・・今日一日で千麻ちゃんのありがたみを一生分感じた」
「・・・・ご苦労様です」
「まじで人事の能力疑うわ」
そう言って舌打ち響かせる彼はさっきの自分と類似する。



