さすがに一人頑張っているこの状況に苛立つと、顔を上げて彼女らに指示して動かす。
「とりあえず、ステージの音響やスクリーンにこの操作法で反映出来るか聞いてきてください」
「え~、」
「恭司様も一緒に行きます?」
「彼は私とこっちの処理で忙しいんです!このドレス売り込みたいんでしょ?さっさと言われたとおりに動く!!」
一喝すればしぶしぶ動き出した彼女らだけども、名残惜しいと頻繁に彼を振り返って微睡んだ眼差しを向ける。
そんな彼女らにクスクスと笑った彼がフッと私にその笑みを向けた。
「俺と2人きりになりたかった?」
「ええ。この作業をするためにはあの2人は邪魔ですから」
「つれないなぁ、千麻。本当になんで結婚なんてつまらないことしちゃうかな?」
「それなりに新しい発見で充実してるわよ」
「でも・・・・未だ欲求不満」
「余計なお世話」
「俺はね、これでも昨日の千麻の発言には傷ついてるんだよ?」
「へぇ、鋼鉄のハートなあなたを傷つけられたなんて人生の輝かしい記録だわ」
全く傷ついていないような微笑みでいけしゃあしゃあと物を言う男に軽い嫌味で切り返す。
その視線は常にタブレットに落ちていて、しかも何気にてこずっていたりする。
操作の一部がどうもうまくいかない。
その事にも軽く苛立っているのに恭司の言葉遊びに付き合っている暇はないのだ。
そして表示されるエラーに本気で床に叩きつけたい衝動。
その瞬間にするりと奪われた手の中の物。
一瞬本気で自分が叩きつけたかと思って焦った。
でも、衝撃的な音は響かず代わりに耳に入ったのは嫌味な男の声音。
「俺よりも・・・彼のキスに欲情するなんて、プライド破壊するような公開処刑されたら・・ね」
言いながら流れるような所作でタブレットを叩いた指先と、心地よい認証音。
そして勝ち誇ったように妖艶に微笑みその画面を示してから私に手渡してくる姿。
変わってない。
「・・・・ありがと」
「いえいえ、もっと可愛らしい感じに返してほしいなぁ」
「指輪を返してくれたらもうちょっと柔和になると思うわ」
「指輪・・・・」
この野郎。
わざとらしく思い出すかのように顎を指でトントントンと叩く姿に舌打ちを響かせる。
それがまた彼を上機嫌にする要素であると知っているのに。



