夫婦ですが何か?





悪者か私?


しかし正論なはず。


問題は泣いている2人じゃなく、準備不足なこの場をどうするかなのだ。


困った・・・パソコンかタブレットでもあれば・・・・。




「お困りかな?AngryLady?」



響いた声と香りはほぼ同時。


そして認識してうんざりとする。


何故?


そんな疑問も瞬時に自らで解決。


そうだ、この会場を取り扱うのは彼の働く会社であったと今更思い出しゆっくり声がかけられた背後を振り返った。



「ほら・・・また会えた」


「パソコンかタブレット貸して」



言われた言葉を無視して手を差し出せば、決して崩れない微笑みが私をまじまじ覗き込んでクスリと笑う。



「やっぱり・・・趣向が変わった?千麻」


「これも仕事よ恭司、」


「こんな年齢も考えずなフリル満載のドレスに身を包むのが仕事なんて・・・・大道寺のお仕事もなかなかユニークって言えるものだね?いや・・・・、『彼』の為のご奉仕かな?」



言いながら小脇に抱えていたタブレットを私の手のひらにトンと置くも、そう簡単に渡さないというように掴んだままの指先。


意地の悪い微笑みにまっすぐに視線を返すと更ににっこりと弧を描いた唇が偽善的な言葉をはじき出す。



「お手伝いいたしましょうか?ATER(アーテル)?」


「ラテン語?嫌味ね相変わらず・・・」


「フフッ、相変わらずなのは千麻もだ」


「何よ?」



嫌味だとでも言いたいのか?


嫌味だとしても確実にあんたよりマシ。と挑むように見つめ上げれば、ニッと細まった意地悪な目。



「俺の問いにNO!ならすぐにはっきり返すのが千麻だ。だけど今の問いに返されたのは決して答えでない嫌味の言葉。・・・・・つまり、困ってるんでしょ?千麻」


「・・・・・・むかつくわ」


「ありがとう。もうちょっと素直な言葉で反応いただければ俺の頑ななこの指が緩むと思うんだけどな」



そう言って更にしっかりとタブレットを掴む彼の手。


本当に腹の立つ。


そもそもまだこの男には指輪を盗られた恨みもあるというのに、まるで何も後ろめたいことはないというように微笑んで絡んでくる姿にも苛立ってしまう。


かといって、今は彼の言う通りに余裕はない。


むしろ悔しいかな彼の仕事の有能さ俊足さはよく見知っている。