「うん、いつもこうだよ」
「むしろ普通の服の時の方が少ない?」
「貶すわけでなく。・・・抵抗とかはなかったのですか?一般的な装いから外れることに」
「うーん、あんまり?」
「私達には当たり前だったし、1人じゃなく2人でだったし」
「あれみたいなものじゃない?着物!あれも日本の文化と言えば文化だけど、みんなが着ているものじゃないでしょう?」
「・・・・なるほど、確かに」
「私たちは少数派に属してるだけで変人ではないしね」
そう言って恥じることはないとにこやかに歩く2人を少し感心。
そしてそんな2人が自信を持って創り出したドレスを着ているのだから、自分も凛として徹しなければと再確認し気持ち新たに道を歩く。
歩いていればちらほらと増える似たような装いの姿に会場となる場所の近さを感じた。
そして増えるごとにこちらに気が付き、そしてここでどこかで感じたデジャブに陥る。
口元を覆って嬉々とする少女達。
そんなざわめきに微笑み手を振る愛らしく美しい彼女ら。
それに付き従える私。
ああ、大道寺の人間につくとどこにいようとこの感覚に陥るのだ。
カリスマ的羨望の対象。
彼女らは紛れもなくあの社長、副社長の血縁者なのだ。
『きゃあぁぁ、可愛い』
『朱ちゃんと藍ちゃんだぁ』
などなど。
決して叫ぶでもなく、でも興奮したような少女たちの声を拾い上げながら歩いていく。
凄いな。
純粋に感心の眼差しで私を挟んで歩く彼女らに視線を走らせた。
そのタイミング。
『あの、』
とうとう遠巻きでなく直に接触をはかってくる少女達が目の前に立つと嬉々とした目で彼女らに手を出した。
『朱ちゃんと藍ちゃん大好きです。写真撮ってもいいですかぁ?』
「ありがとうぉ~」
「一枚だけならOKだよぉ~」
アイドル・・・。
まるで芸能人扱いだとどこか他人事のようにその事態を眺めていれば、予想外に自分の両腕に絡んできた彼女らの腕。
そして有無を言わさずその輪に引き込まれると、写真を要望した少女らににこやかに私を示しだす。
「じゃーん、今日はスペシャルな友情出演お願いしてるのぉ」
「この子も一緒でいいかなぁ?」
嫌です。
そうは絶対に言えないこの空気。
言われた少女らが作り上げられた目をぱちくりと瞬かせるとまじまじと私を見つめてくる。
ああ、すいません。
あなた方の中にこんな年配者が入り込んで。
さすがに感じた引け目でゆっくりその身を後退させようとすれば。



