ーーーーNEXT MORNINGーーーー
朝、誰よりも・・・まぁ、普段は彼よりも早く起きる私。
眠っている年相応な彼の顔を確認するのも日課。
そしてゆるゆると飾り気もないスーツを選んで着るのが日常。
だけども今日に限っては非日常にあたり、適当に楽な格好に着替えるとキッチンに向かってエプロンをつけた。
今日は2人増えての4人分。
ふぅっと息を吐き気合を入れ直すと冷蔵庫を開けた。
我が家は基本和食だと思う。
これは彼の好みに合わせての事。
そうして人数分の朝食を作り上げていくと、コーヒー豆の入った瓶を取り出しミルで引き始めた。
手動。
電動のが楽なんだけれど結構手で挽いてる時にふわりと香る匂いが好きであえて面倒な方を選んでしまう。
綺麗に挽くとあとはコーヒーメーカーの仕事。
コポコポと音と香ばしい匂いが立ち昇るとキッチンに並んだ小瓶からシナモンスティックを取り出しソーサーに乗せる。
「いつ見てても無駄がなく完璧で惚れ直しちゃいそうですよ」
不意に向けられた言葉に馬鹿みたいに驚く反応はせず。
小さく『あっ』と思い、確かめるように振り返れば、当然の事ながら寝起きの彼が壁に寄りかかり私の姿を微笑ましく見つめている。
まだまどろむ眼差しで。
「おはようございます。いつもより10分は早いお目覚めで」
「うん、頑張って起きてみた」
「その頑張った結果私をストーキングして無駄に終わらせたのでは意味がないのでは?」
起きた分だけ早く支度しろ。と暗に促せば、よろりと動きを見せた姿が何故か行き止まりのキッチンに入り込んで私に近づく。
そんな姿に気が付きつつもコーヒーの落ちきる音に反応し、いつものペースに戻り始めた瞬間。
グイッと腹部に巻き付き引き寄せてくる腕。
なんとなく予想もついていて、抵抗もせずにされるがまま身を任せれば背中が彼の胸にトンと当たる。
そして耳元に寄った唇がまだ気怠そうな声を直接吹き込む。
「・・・・充電の為の早起きです」
「充電?」
「だって、・・・今日千麻ちゃんいないじゃん」
甘ったるい理由を口にするとその腕に力が込められますます彼と密度の増す体。
たかが1日に大げさな。と思ってもさすがに口に出さずに頭を彼の肩に預け天井を仰ぐ。
「私が休みの日なんて今までもあったでしょう」
「まぁ、数える程度に・・・」
「永遠の別れじゃなし、家に帰れば当然いますよ?一応・・・今はあなたの妻という立場なので」
「一応って・・・・相変わらず手厳しいなぁ千麻ちゃん」
クスリと小さく耳に響く彼の声にわずかに口の端が上がったのは内緒。
彼からは当然見えていなかったし、そんな反応を見せたら彼はきっと調子に乗る。



