今までのやり取りをしっかりと捉えていたらしい彼女らの酷く愉快で恍惚とした表情。
下手したら『続けて』とまで言い出しそうな2人に深いため息を吐いた彼が無気力にカウンターに頬杖をつくと注意を促した。
「これ以上は金取るぞ・・・」
「いやん、怒らないでお兄ちゃん」
「ちょっとした新婚生活のお勉強だったの」
苦し紛れの言い訳をしながら2人が物陰からその身を出すと、そそそっと私の後ろに身を置き彼を覗き始めて様子を伺う。
「で・・・、どう?お兄ちゃん」
「素敵だと思わない?」
探るように同意を求める彼女らの声に横を向いていた視線がちらりとこちらを確認して目を細めた。
客観的に捉えるためなのか。
私というよりは衣装に視線を走らせた彼が再び息を吐くと興味なさげに一言。
「モデルのおかげでだいぶ割増だけど・・・・・合格点」
「本当!?」
「じゃあ、明日発表しちゃってもいい!?」
「・・・・・大道寺に迷惑かけない事。それに俺は別にその分野に詳しいわけじゃない。それがマニア的に需給するかは別の話だぞ」
決して身内の甘さで上げっぱなしではなく、釘を刺すように忠告をするところは兄というよりは会社で見る彼に類似する。
それでも彼女らの揺るがない微笑みと自信と、・・・その理由。
「うんうん、それは大丈夫」
「なんたって今まさにお兄ちゃんですら屈服した素晴らしいモデルがいるんだから」
「・・・・・・・・・はっ?」
驚愕の反応。
さすがに私は二度目だから驚かず、ただ成行きに任せようと黙して腕を組み無表情で彼を見つめた。
その宣言を受けた彼と言えば、その言葉の意味を理解しつつも別の方向性にも思考していたんだろう。
それでも結論。
示されたのがほかでもない私だと受け入れると心底疲れたように溜め息をついた。
そのタイミング。
「と、おっしゃってますが副社長。どうなさいますか?私の常識が言うには一応社会人で平日の明日は私もそれなりの勤務あると心得てますが」
そう、平日。
どうやら明日明後日と行われるらしいイベント。
明後日はまぁ国民の休日だからいいけれど、明日は金曜日という平日なのだ。
当然私だって仕事がある。
この目の前の小生意気な副社長の秘書という。



