しばらく無駄な抵抗はしないと身を任せていれば、大した時間もかからずに遊びは終了したらしい。
出来た!と嬉々とした2人が私に鏡を向けるより早く携帯で写真を撮り始める。
ああ、おもちゃ。
なるほど、モデルや人形はいつだってこんな気分か。
仕方がないから特別愛想もふりまかずに付き合って座っていれば、彼女らからしたらそれが完璧らしい。
「いい、千麻ちゃんのその無表情」
「もうイメージピッタリぃ」
よくわからないけれどイメージに合ってしまったらしい私の普通。
もう程々に夜でそろそろお開きにしないかと持ち掛けようとした矢先。
「よしっ、まずは近場からこれで売り込もうよ!」
そう言い出したのは朱さんで、藍さんもうんうんと頷くと2人で座っている私に近づいた。
そして有無を言わさず両手を引かれて立ち上がると入口に向かう。
家の中なのに履かされた靴がコツコツ鳴って、自分でも確認していない姿を元のリビングに曝け出されてその場に立った。
彼と言えば一人キッチンのカウンターテーブルでビールを飲んでいたところで、株の動きでも見ていたのか携帯に向いていた視線。
それでもカツンと響いた靴音に、怪訝な表情でグラスを口にしたままこちらを向いた。
不機嫌なグリーンアイ。
そう思ったのは一瞬。
直後に驚き一色のそれになり、飲むことを忘れた液体が彼の顎を伝ったのを『あっ』と声を響かせた時には彼の服に到達していた。
「・・っ・・・めて・・、えっ?はっ?・・・・誰?!」
「・・・・・・・本気ですか?」
「いや、もちろん確証あっての質問だけど・・・さ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・誰?」
「そんな簡単にわからなくなる程度の認識なら私たちの関係もその程度ですね・・・・・ダーリン」
「いやいやいや、・・・・ああ~・・・・ヤバい。・・・・切り返しも思いつかないくらいに衝撃だったよハニー」
どうやら本当。
それは拭っている顔と濡れたあなたの服でよくわかる。
腕を組んでその場に仁王立ちに、座っている彼を見下ろせばまだ驚き孕むグリーンアイがよく揺れる。
そして、そしてね。
これは突っ込むべき?
酔っているからなの?
顔・・・・赤いわよダーリン。



