「いいのぉ。あの独特な世界観を私たち風に創り出してみようとしてるんだから」
「ねぇ?アリスはフリフリの代名詞だもん~」
「・・・・そうだったか?青いドレスにエプロンしか浮かばないけど?」
「もう、いちいち文句つけないでよぉ」
「お兄ちゃんには理解できないもん」
「うん、一生無理」
にっこりと嫌味に微笑むとパッと掴んでいた袖を離してビールに口をつける彼。
それを不満気に見つめていた彼女らが思い出したように私に視線を向けるとそのドレスを突き出してきた。
「千麻ちゃん、」
「千麻ちゃんはどう思う?」
「結構自信作なんだぁ」
「これで反応見て注文受けて展開しようと思ってるの」
どうどう?
そんな愛らしくもどこか必死な眼差し。
それに押されて視線をまるで分野外の黒いドレスに向けていく。
確かにフリフリで奇抜でまず一般的には需給しなさそうだけども、ドレスそのものへの感想を告げれば・・・、
「・・・・・・悪くないと思います」
「わっ、」
「本当?」
「・・・まぁ、分野外なのでそれがその手の方たちにウケるかどうかは別として・・・・デザインもレースも・・・このレース・・・見事ですね」
「あ、お目が高い!」
「それねアンティークで結構お値段張るんだよ。輸入物」
「おい、ちょっと待て・・・」
ここでようやく入り込んだ彼の声。
その怪訝で不愉快な声音に妹達が珍しくビクリと反応する。
つまりそう反応する後ろめたさがあるという事なんだ。
なんとか誤魔化そうとしてなのかにこやかに彼を振り返った2人だったけれど、彼の威圧にあっさり撃沈。
「なんでそんなご立派なレースが簡単に手に入るんだろうなぁ?」
「や、やだなぁ」
「ネ、ネットとか・・・」
「お前ら・・・・まさか【sanctuary】に泣きついて頼んだんじゃないだろうな?」
「・・・・」
「・・・・」
「頼んだな?」
「そ、そんなぁ、【sandtuary】にだなんて大げさな」
「そうそう、ちょっと・・・翠(みどり)君と碧(あおい)君に相談にのっただけで・・・」
「その2人が【sanctuary】の人間だからだろうが!」
ああ、なるほど。
理解した入手法は確かに的確で質がいい物を得ることが出来るだろう。
でも、彼のお怒りももっともだと思ってしまう。



