夫婦ですが何か?




「何?お前らまた出るの?」


「うん、」


「だって向こうから是非にってお声がかかるんだよぉ」


「私達ってぇ、ほら、有名?」


「アイドル?」


「知ってるよ!!お前らそっちじゃ結構有名で女男関係なく信者多くて、それで毎回何かイベント後に実家まで信者が押し寄せるんだろうが!!」



ああ、まぁ、そうなるだろう。


騒がれてもおかしくない程の美少女で、それがまた異色な双子ときたら。




「なんかブランド作ったら売れそうですね」




ぽつりとなんとなく思ったことを口にすればどうやらそれは火種だったらしい。


瞬時に恍惚とした彼女らの視線が私に移り、その瞬間に飲んでいたビールがぴちょんと跳ねる。


地雷踏んだ?




「さすが千麻ちゃん」


「そう、そうなのですよ」


「やっぱり私達って、」


「パパの血を引くビジネス家?」


「おい・・・・お前ら・・・・」




彼の表情が険しくなる。


止めてくれ。


そんな儚い願望も彼女らの目には映っていないでしょうね。


そうして嬉々とした彼女らはおもむろに持ってきた馬鹿でかいスーツケースを開封すると、中から今自分達が着ているもの以上に黒くてふわふわな布地を持ち上げ微笑んでくる。



「じゃーん」


「記念すべきサンプルです」


「【NOIR ALICE】の記念すべき非買の一着~」



そう言って広げられたのは確かに真っ黒だけども服としての形あるもので。


朱さんの手にはドレス、藍さんの手にはその他付属の装飾品なんだろうか?2人して自信満々と言える笑みで私たちに示して。


それを突きつけられた私たちの反応と言えば。


唖然茫然。


『はぁ、』と盛り下げるような反応しか返せないだろうから口をとざした。


しかし彼はやはり兄。


物凄く複雑で心の無い笑みを口元に浮かべると、目の前の真っ黒でフリフリなドレスを指さして口を開く。



「何?【NOIR ALICE】?・・・・黒いアリス?アリスって誰だよ・・・」


「不思議の国のアリスだよぉ」


「もう、そんなメジャーな話も知らないのぉ?」


「知ってるよ・・・。嫌味で突っ込んだって理解しろよ。ネーミングセンス浅っ・・・」



そう言って彼女らのドレスに触れてつくりを確認するように眺める彼に、わざとらしいふくれっ面を見せる妹達。