何がおかしいのか、くっくっくっと声をなんとか噛み殺して笑う彼をただ見上げて反応を待つ。
そうしてようやく落ちついたらしい彼が少し涙ぐんでいるグリーンアイをこちらに見せると、ニッと微笑んでからよく分からない爆弾を落としてきた。
「心底可愛い」
「・・・・嫌味ですか?笑いを取りに来てるんですか?」
「・・・・いや、なんでこのセリフでそう自虐的に取れるのかが謎なんだけど」
「今までそうやってからかって来たからじゃないですか?」
「結局俺のせい?俺は単に、俺を意識して今まで気にしてなかった年齢差とか気にしてくれる千麻ちゃんが可愛くて愛おしいな。って思っただけですよ?」
「・・・・・はぁ、」
「・・・反応薄いなぁ」
「ありがとうございます」
「他人行儀!?」
何だろう、彼的にはいい事言ったぁ!って感じだったんだろうか?
だとしたら喜ぶべきポイントだった?
多分そうであったらしい場面での私の実際の反応に軽く不満げに不貞腐れる姿は正直だ。
盛り下げたかもしれない。
「・・・・正直言うと、」
「ん~?」
「【可愛い】って言葉に縁が無くて実感湧かないってのもあるんです」
「・・・・・今までの彼氏とか、」
「・・・・『カッコイイ』が褒め言葉。あって『綺麗』がいい方でしょうか」
まぁ、『綺麗』と私を女性的に褒める形で使ったのは恭司だったのだけど。
とは、今は絶対言うべきじゃない。
言いきって補足は静かに飲み込んだ。
私の言葉にきょとんとして見降ろす姿がしばらく不動に考え込み、そして何やら自分の中ですっきりとしないのか眉根を寄せながら私に視線を戻した。
「まぁ・・・確かに『カッコイイ』し『綺麗』だけどさ」
「・・・はい、」
「俺の中では第一に『可愛い』が来るんだけど。・・・俺が変?」
「・・・・・」
少し・・・、
うん、少しね。
ちょっとだけ・・・ドキッとしたわダーリン。
『あれぇ?』と困惑顔で自分を指さし問いかけてきた言葉に馬鹿みたいに心臓が反応。
そして『待って』と言ってももう遅く、速まった心臓のせいで熱が上がる。
焦っても手遅れなそれが見事顔まで到達すると、そこまでではないだろうけど頬を紅潮させたと思う。
失態。
彼が未だ口にした疑問に視線を泳がせ考え込んでいる間に、そろそろと布団を引き寄せ顔に近づけていくと。
「・・・・何してんの?」
さすがにバレた。
当然か。



