ーーーーONE NIGHT?ーーーー
背後でパタリと扉が閉まる。
閉めたのは彼で、そのすぐ横に立ちもう見慣れて寝なれたベッドを見つめた。
1年間、その用途のみで終了するはずだったのに。
変な感じ。
今更ながら直面する時間にどこか変な感覚で眉根を寄せてベッドを挑むように見つめていれば。
扉を閉め同じようにベッドに体を向けた彼も隣で不動のまま静かになった。
しばらくお互いに同じようにベッドを見つめ、ふとした瞬間お互いが気になったのだろう。
ちらりと視線を横にすれば、見事なタイミングに視線が絡んですぐに彼が小さく噴き出し笑う。
「ははっ、デスティニー・・・。さすが夫婦。息ぴったり?」
「偶然でしょう。それにもし『息ピッタリ』かけるなら、私の5年の苦労の賜物です」
「ねぇ~、よく俺なんかについてきてくれたよね?」
「自覚がおありならもう私を振り回さないでください」
なんて会話?
色気もまるでなく、どう考えてもこれから肌を合わせようっていう2人の会話じゃない。
ムード作りなんてどこへやら。
こうして口を開けば私と彼は嫌味交える愉快な戦争になってしまうんだ。
やはり早まった決断だったか?
「ごめん」
「・・・はっ?」
「まだまだもっと・・・・振り回して、怒らせて、泣かせて笑わせるから、」
「・・・・・」
「千麻ちゃんを愛させて・・・」
言った直後に左手に絡んできた彼の指先。
隣り合って手を繋いで。
まるで初体験同士の子供の様だ。
お互いに手さぐりでどう出ていいのかわからないような、そんな・・・。
でも、うん・・・でもね、
私を見下ろす優しくおねだりするような彼を見上げる。
そしてずっと色気もなく無を描いていた口の端をニッと上げるとすかさず彼の唇にキスして離れた。
予想外のキスだったのか離れた時の彼の驚いた表情。
それを確認し悪戯に微笑みながら言葉を返す。
「ムード作りが上手ねダーリン」
クスリ笑って着ていたパーカーの裾に手をかけると、持ち上げようとしていた瞬間にその手を掴まれ阻まれた。
何故?
そんな小さな驚きで彼を見上げれば、もどかしげな苦悶の表情。
そして紅潮した顔。
「・・・まさか、・・・照れてます?」
「・・っ・・・悪い?」
「悪くはないですが意味不明です」
今までさんざん人の意思無視して触ったり見たりしてきている男の反応じゃない。



