まさかと思いつつ仮説的に問いかければあっさり認める姿に呆れ顔で溜め息をついて見せた。
「やっぱりその髪型目指してよ」
「やはり並ぶには見た目若い方がいいからでしょうか?」
「もう、相変わらず皮肉屋だなぁ。別に普段から美人で並んでても見劣りしないでしょ?」
「『見劣り』って、確実に自分が上の目線の言葉ですよね。ナルシストですか?」
「いちいち上げ足取らないでよぉ。ただ純粋に可愛いからしてほしいだけなのになぁ」
チェッ、そんな感じに不貞腐れた彼の視線が再び私から夜景に移っていく。
その横顔を見つめ小さく笑うと自分の杯を口に持っていった。
口内に広がるアルコールの甘味。
程よく熱を持つ喉に快感を得て、クラリと程よく揺れたのをいい事に彼の肩にトンと軽く頭を預けてみた。
瞬時に反応し彼の視線が移ったのを感じる。
でも特別確認するでもなく自分の杯を見つめると再びゆっくり中身を呑んだ。
「・・・・・どうしたんですか?なんか行動がマニュアル外で焦るんですけど」
「・・・別に、」
「ああ、『別に』です・・か」
「甘えてみようと思っただけです」
「・・っ・・・・」
一度『なぁんだ』と視線をよそに向けたのを見計らって爆弾を落とす。
面白いほどグリーンアイが感情をあらわに私を見つめて、堪え切れなくなり小さく噴き出して口元を覆った。
「千麻ちゃんっ・・・俺をからかって楽しいですか!?」
「・・・・はい、これ以上ないってくらい」
「くっそ、昼間のおどおどした愛らしさはどこ行ったんだよ・・・。ボロボロにらしくなく泣いてたくせに」
「しますよ。泣いたり、意識した人に恥じらったり。私だって女の子ですから」
「ごめん、毎晩きわどい無自覚な誘惑ふりまく千麻ちゃんに言われても説得力無い」
そう言って示すように私のいつもと変わらぬ【彼シャツ】的ルームスタイルを見つめる彼に、フフッと笑うと切り返す。
「だから、【意識する人】って言いました」
「・・・・意地悪」
あえてその部分を強調すれば、暗に意識外を意味することになる言葉遊び。
気が付いて不貞腐れた彼がムッとして視線を外すと持っていた酒をグイッと煽った。
それをなだめるようにすかさず杯を満たして、限界まで注ぐとちらりと上目づかいで彼を見つめた。
絶対に彼は私を見ると確信があったから。
ほらね。
絡んだグリーンアイの視線に満足だと口元に弧を描いて手に持っていた瓶をゆっくりと置く。



