そう・・・いう・・・ことになるのか。
いや、そういう事だって自分ではっきり言ったのだ。
私・・・・何言ったんだろ。
「・・っ・・やっぱりーー」
「ダメッーーー」
耐えきれず取り下げようと口を開けば、今までぼんやりしていたはずの彼が瞬時に反応して私の口をその手で塞ぐ。
そして懇願するようなグリーンアイの揺れにその手を外されても言葉が出ない。
代わりに声を響かせたのは。
「・・・・・『やっぱり無い』なんて言わないで。もしかしたら無くなるかもしれないけどさ、千麻ちゃんがあるって感じた今だけでもその確率をなかった事にしないでよ・・・」
「・・・・・10%・・ですよ?」
「うん・・・」
「あなただって・・・、この数字がいかに意味をなさずに不確かか理解しているでしょう?」
「・・・してるよ。でも・・・それは仕事の上での数字だもん。人の感情の上の数字としては・・・・・・
ううん、俺と千麻ちゃんの間の数字としては充分すぎて希望だってかけちゃうよ・・・・」
「っ・・・・」
「ねぇ?わかってないの?愛なんて0%から始まった俺たちなんだよ?1%に満たなくても、0以上の数字になった段階で充分な希望だよ」
切なげに、苦しそうに微笑む姿。
でも、すべてに歓喜してという意味が含まれる。
何で・・・あなたはそうやってこの結婚に希望を抱くんですか?
あなたが言うとおりに愛なんてまるでなく【契約】と称して生活を共にし始めたのに。
私なんて愛してくれなくていいというのに。
ただ狡く自分の傷の痛みを誤魔化すだけの都合のいい消耗品でよかったというのに。
ねぇ、ダーリン。
私を求めてもいい事なんてないのよ?
得する事なんてないのよ?
こんな風に言葉の棘で傷つけることばかりなのよ?
もっともっと・・・優しくて可愛い女の子はいっぱいいるのに・・・、それを捨てようとするなんて。
「本当に馬鹿ね・・・・。感情だからこそ10%なんて一番危ういのに」
呆れた。
そんな風に笑って口にすればそれでも嬉しそうに無邪気に微笑む姿に心臓が反応する。
強く・・・強く・・・。
「大丈夫。まだまだ時間はあるもん。覆せないほどの確立にするから覚悟してよね」
強く・・・・。
強く?
ああ、・・・あれ?
ああ、自覚。
誤魔化せない自覚。
どうしよう。
いつの間にか絶対にないと思っていた動悸を彼に抱いている自分がいる。
上司から夫として、夫から今男として彼を意識した。



