秘書としての【何か】は会議に参席することで仕事として埋めようと行動した。
そして妻としての【何か】。
それを考えた時に浮かんだのは失った夫婦の証しの再現。
それがたとえ無くとも婚姻関係は確かで、間違いなく私と彼は夫婦であると。
私はあなたの妻なのだと自ら示してそれを巻いた。
いつぞやの、彼の悪戯の様な赤い糸を真似て。
でも・・・、
「すみません。・・・・高価な物だったのに盗られてしまいました」
「まぁ、面白くはないけど千麻ちゃん本人が盗られなかっただけまし」
「・・・・盗られませんよ。雛華さんじゃあるまいし、誘拐するほどきょ・・彼も、」
「ねぇ、超不自然。今名前で呼びそうになったでしょ?」
「・・・ちっ、こういう時は鋭いし、」
「舌打ちぃ!?うわっ、ちょっと寛大に心開けば簡単に感じの悪い千麻ちゃん復活ですか?!」
「・・・・嬉しいでしょう?私らしさが戻って」
「・・・・どっちかと言えばさっきみたいなグダグダな千麻ちゃん攻め込んで苛め倒したかった」
「・・・・・じゃあ、今の私は不要ですね」
軽く不貞腐れながら彼が呟いた言葉に、分かった。と理解を示すと薬指のリボンに手をかけ始める。
蝶々結びされているそれをスッと引いてほどこうとすれば、焦って私の腕を掴む男。
そして視線が絡めば眉尻下げ、でもすぐに口元にゆるく弧を描きお互いの指先が絡む。
「全部必要」
「失望した無能者でも?」
「ごめん・・・失言で言い過ぎだった。千麻ちゃんに失望なんてした事ない。しかけてもいつだってそれを上回る見返りをくれるんだ」
示すように彼の指先が薬指の緑に触れ、そっと額が寄り合ってそっと触れる。
「いつだってどんな時だって・・・千麻ちゃんは有能で俺を理解してくれるちょっと素直じゃない秘書で奥さんだよ」
狡いのねダーリン。
そんな可愛らしく恥じらいながら微笑まないで。
可愛らしいったら・・・。
「・・・っ・・・」
「ーーーーーーっ」
元々至近距離だった顔を自ら寄せてそっと唇を重ねて、しっとり押し当てるようなキスを交わすとゆっくり離した。
捉えるグリーンが驚きを見せるのに歓喜も揺らす。
それに気が付きフッと口の端を上げると彼の両頬をそっと包み込んだ。
「これは・・・・」
「お仕置き?」
「お仕置きされるような悪さをしたんですか?」
「いや、俺はどっちかといえば今回は何も」
「・・・・・なんか話の腰が折れましたね。流れじゃなくなったからもういいです」
「ええっ、何その中途半端!!キモッ、全部言ってよ『これは』なんなのさ!?」
落ち着かない。と自分の腕をさする彼の姿をじっと見つめてからあえてプイッと顔を背ける。
当然嫌がらせ。



