シンと静まるその空間に緊張と気まずさばかりが溢れてきて、薄暗くても分かるグリーンアイが久しぶりに恐いと思った。
「・・・・・ねぇ、何なの?アレ・・・」
「・・・・っ・・・すみませ・・・・」
先に口を開いた彼から、多分さっきの痴態の事だと理解して謝罪を口にする。
ああ、やはり怒っている。
当たり前だ。
彼は若くてもこの会社の副社長でメンツもある。
それを補佐すべき秘書である私が逆に彼を羞恥に晒したんだ。
「命令無視して勝手に会議に参加したかと思えば・・・」
「すみません・・・・本当に、申し訳ありまーーー」
「欲求不満なの千麻ちゃん?」
「・・・・・」
下げていた頭そのままに一瞬不動になる。
そして言われた一言を反芻し、聞き間違いはないと確認するとゆっくり顔を上げた。
絡んだグリーンアイは真顔だけども過剰な怒気は感じない。
彼の感情の流れが掴めずに困惑で不動になっていれば、『ぶっ、』と音を響かせ噴き出した彼が口元を押さえて小さく笑う。
「ひっどい顔。なんかそこまでぶっさいくな千麻ちゃん見れてラッキーだしいい気味かも」
噴き出し嘲笑交じりに言われた言葉に一瞬の絶句。
でもすぐに我に返ると掴みかかるように伸ばした両手。
当然全て予測済みの彼がクスリと笑うと私の両手首を掴んで動きを封じた。
「なぁんだ、いつもの反抗的な千麻ちゃんも健在なんだ?」
「・・っ・・・殺す。絶対に殺す。私のこんな醜態見た眼なんかえぐってやる」
うわぁ、猟奇殺人?」
「いいわよね?安心して、殺した後に私も一緒に死んであげるから」
「・・・心中・・か、・・・・いいよ。千麻ちゃんも一緒なら、俺殺されても・・・」
おかしい。
おかしいです。
無邪気に笑って言うセリフじゃないわよダーリン。
すぐに切り返せず黙ってしまった事に悔しさ募らせれば、クスリ笑った彼の顔が私を覗き込んで見つめる。
悔しいけれど綺麗なグリーンアイだ。
「訂正、・・・可愛い。・・・泣いて赤くなって余裕ない千麻ちゃん見れてラッキーだった」
『狡いわね』
そう告げる筈が瞬時に唇を塞がれて飲み込まれてしまった。
ああ、この匂い・・・・。
安心して・・・好きだ。



