溺愛。
いや、あの庭の愛情表現を見てきていたんだからその愛情の深さは充分に理解している。
でも、お忘れですか?
私、あなたに告白して振られてる身ですが。
「雛華さん、私あなたに振られてるんですよ?」
「うん?ごめんなさい?」
「軽いですね、」
「別に軽視してるわけじゃないんだけど、千麻ちゃんももう感情無しに言ってきてるじゃない?」
にっこりと微笑んで指摘された事に意識が走る。
確かに、あんなに泣いてしまうほど強かった気持ちがこんな風に話題にするほど軽くはなっている。
今も尚私を癒やす存在である事に変化はないのに、切なくなる様な感情は不在で対峙している。
なんか・・・・焦るし困る。
「・・・・まだ、好きです。好きな筈です」
「ん?何その宣言・・・千麻ちゃんらしくもない」
「雛華さんが好き」
「ーーーって、前提の感情あれば茜にそういう感情抱かない理由になると思ってない?」
「・・っ・・・・」
言葉に詰まる。
思わず押し黙ってしまえば、今まで穏やかに笑っていた姿が思いついたように少し妖艶に変化する。
ニッと上がる口の端。
危険さ孕んだグリーンアイが細まって、グッと至近距離に寄った顔に驚いて双眸見開くと。
「・・・・キスしてみる?」
「・・・・・・はっ!?」
「そんなに俺に好意見せてくれるから・・・ちょっとした探求心働いちゃった。千麻ちゃんはどんなキスで応えてくれるのか」
やっぱり・・・、血筋。
物凄く今の雛華さんは彼を思い出させる表情で私に対峙する。
どういう意図の物か、混乱し不動になる私の頬にそっと添えられる雛華さんの手。
その感触に意識走らせると同時に距離を縮める姿に心臓が強く強く跳ねる。
焦がれ羨望した姿。
その彼と口付けを交わす。
「・・・・・ほらね」
わけ・・・、
「体は正直・・・」
あるか!
咄嗟にお互いの唇の隙間に挿し込んだ自分の手。
心臓が煩いくらいに跳ねて体が熱い。
嫌だったわけじゃない。
好いていた姿なんだから嫌悪する筈がない。
なのに・・・・違うと感じた自分に焦る。
「・・っ・・芹さんが傷つきます!」
「まぁた、そうやって他人の感情で自分のを誤魔化すんだ?」
ああ、やはりよく似ている。
こうして人を追い詰める時の性質の悪さと笑顔は嫌ってほど類似する。



