「・・・俺の記憶が正しければ、あいつ大塚コーポレーションの専務についてきた秘書じゃない?」
「はい、その記憶は正しいかと」
「しかも・・・ウチには初めて来たんじゃ?」
「それも多分、」
「じゃあさぁ、・・・何で初めてココに来た他社の秘書と我が有能な秘書の千麻ちゃんが仲睦まじく和んでお話してたんだろう?」
「・・・・いけませんか?同じ職種で、しかもこういう機会で交流を持つことなんて稀ではない筈ですが」
別に恭司との関係を隠したいわけじゃない。
聞かれれば答えていいと思っているのにどこか遠回しに回りくどい問い詰め方をしてくるから、質問の意図を理解していても私も答えを回りくどく答えているだけの事。
そしてそんな私の言動も理解している彼が更に眉根を寄せると核心を突く。
「あいつ誰?千麻ちゃんの何?」
「一番と三番目の彼氏で以後体のみの関係の元カレです」
躊躇うことなくはっきり淡々と切り返せば目の前の不機嫌の解除。
唖然とした表情で不動になる彼の隣で同じように微妙な表情で固まる雛華さん。
そんなに驚く事実だろうか?
私だって恋人の1人や2人はいた時間があって・・・、ああ、その後のセフレ発言がまずかった?
「一番と・・・・三番って?」
先陣切って声を響かせたのは雛華さんで、ちらりと隣で不動な彼に視線と気を走らせてから気まずそうに私に確認してくる。
「言葉の通りに、私のすべてにおいての初めての対象であり、別れて別の人と付き合い、その人と別れた後にまた彼と付き合ったんです」
「そ、それは・・・さっきの彼に未練あって2番目の人と別れたの?」
「いえ、成行きと相互条件の一致でしょうか」
何故か珍しく食い込んで質問してくる雛華さんに疑問を感じつつも、時々視線を隣に走らせる事で理解する。
ああ、驚きで不動になっている彼の代わりに質問しているのか。
「成行きは・・・まぁ、理解するとして。・・・・相互条件?」
どこか爆弾処理でもしているかのように顔を強張らせて確認してくる雛華さんに申し訳なくなる。
と、いうか目の前のお人はいつまでフリーズしているんだろうか。
ちらりと不動な彼を捉えてから代わりに挑んでくれている雛華さんに視線を戻し、余計な付箋残しての会話を終えようと口を開いた。



