夫婦ですが何か?









なんか、仕出し屋の弁当と言っても所詮は出来合いの総菜物だな。


そんな事を思いながら支給された黒い重箱の弁当を突いて見つめた。


そして顔を上げてすぐ横の窓の外を見る。


光りの反射でガラスには自分の姿が移りこんで、悲しいかな不愉快の対象である首筋の赤に眉根が寄った。


そして込み上げた感情を押し込めるように適当に弁当のおかずを口に放り込んでごくりと飲み込んだ。


でも詰め込み過ぎたのか多少喉につかえる感じに目を細め、手元にあったお茶に手を伸ばして落胆。


そうだ、さっき飲みほしてしまったんだ。


それでも水分欲する喉の為に足に乗せていたお弁当を座っていた長椅子の横に置くと立ち上がり、目の前にあった自販機にポケットから小銭を取り出して投入していく。


休憩室は一応ある。


たださっきみたいに噂話の対象に自らなるのなんてごめんだ。


だからこそローカに出て自販機コーナーの長椅子に座って1人昼食をとっていた最中で。


順々にチャリンチャリンとお金を投入していき、あと10円投入すればと言う時に感じるあの不愉快。


そしてスッと後ろから伸びてきた手と、チャリンと最後の一枚が投入された音。


ウンザリ。


当然耳に入りこむ声も理解してその匂いの元を振り返った。




「俺の事・・・・思い出してたでしょ?千麻」





先手。


クソッ・・・先手を打とうと口を開きかけていたのに、彼は更にそのタイミング計って先手を打った。


相変わらず。


そう相変わらずなんだ。



「まぁ、ちょっとした事のついでにね」



さらりと肯定して点灯したボタンから目的の物を選んで購入した。


ゴトンと落ちた音に身をかがめると、自分より早くかがんだ姿がそれを取り出しにっこりと微笑むと私に差し出す。


それに嫌悪も好意も見せずにスッと受け取ると開栓して元の長椅子に座った。


そして今までもそうしていたように自販機に寄りかかり腕を組んで私を真正面から見降ろす姿。


ゆっくりと視線で今の私を確かめているのだろうか。


そんな事などお構いなしに残りのおかずを食べ始めると、ようやく確認終えたらしい彼が口を開く。



「相変わらず千麻は千麻みたいで安心したよ」



その言葉にチラリと視線を走らせたけれどすぐに弁当に戻していく。



「重役秘書になったのね、恭司(きょうじ)」


「それこそ・・・・・1年半前に千麻と過ごした直後じゃないかな」


「・・・・・・ああ、あの後、」



言われた1年半前を回想して、そして記憶が一致するともう気が済んだと食事をすすめる。