触れあった唇。
ゆっくりと近づいたそれに拒もうと思えばいくらでもできた。
でも、角度をつけ触れた唇を静かに受け入れ、密度を増すキスに目蓋を閉じた。
熱い・・・・。
しっかりと密着ししていることを確認するようなキス。
でもすぐに私の反応に抵抗を感じなかった彼が啄むように形を変える。
壁に押し付けられるように角度を変えながら重なりを深めていって、それに伴うように自分の指先を彼の胸元に伸ばし掴んだ。
同じほどに私の首の後ろに回る彼の腕。
引き寄せられ体の密度も増して彼の匂いも増す。
ヤバい・・・・まるで媚薬の様だ。
なのに心地よくて浸りたくもある。
ぼんやりとまともでない頭でそんな事を思っていれば、それを知ってか知らずか深まるキス。
わずかに呼吸する隙間にするりと口内に入り込んだ舌先に少し熱の上昇。
焦らすことなく絡めとられた舌先とその巧みさ。
こうしてまともなキスに興じてみればわかる。
彼は恐ろしくキスが上手い。
ただでさえぼんやりとし脱力しそうなのに、気を抜けば意識も失いそうな程巧みなキスに翻弄される。
ああ、でも悔しい。
いつもの私であるならこんなやられっぱなしは落ち着かないというのに・・・・・・。
でも・・・、どうしよう。
常習性高い彼のキス。
癖になったら危険なのに。
でも、手遅れ?
「ーーーっ・・はぁ・・・」
「・・・・・・良かった・・・、これで『出直し』って言われたら俺自信なくなるところだった」
名残惜しそうに離れた唇がまだすぐにでも触れそうな距離で嫌味交えた冗談を言う。
それをやっとまともに呼吸でき、酸欠になりながら小さく笑ってやり過ごす。
そしておしまい。
の・・・つもりなのに。
あれ?
ああ、
悪戯に頬をくすぐる彼の指先といい、綺麗なグリーンアイといい。
すべてが狂っている今の自分の誤反応?
驚くわ・・・。
「・・・・ダーリン、」
「ん~?」
もう呼びなれたそれで彼を呼ぶと、彼は満足いくキスに上機嫌で微笑み私の地毛の短い髪を遊んでいた。
爆弾投下。
「・・・・欲情した・・・」
「・・・・・」
「ありえないわ・・・・、どんな麻薬なのダーリン」
言った瞬間の彼の驚愕の表情。
・・・・・笑えた。
でも一瞬。
さすが禁欲がきいていたのか・・・。
理解した瞬間に噛みつくように唇にキスされ床に倒された。



