一瞬呆けた。
何かの幻かと思い不動になる。
そんな私に眉尻下げ困ったように微笑む彼。
「・・・・・ただいまハニー」
「・・・・ど・・・して、・・・電気・・エレベー・・タ・・とまって・・・」
「・・・停電してたの?今は動いたよ」
「・・・・・・・・会食・・・」
「やっぱり、・・・あんな条件多々の食事なんて行きたくない」
「・・・わがま・・まーーー」
「千麻っ・・・・」
「・・・・・・・」
「甘えるポイントじゃない?」
困ったように、でも柔らかく微笑む姿に一瞬で安堵した。
掴まれている腕のぬくもりも心地よくて、彼の声に集中して雷を忘れた。
そうね、
ここじゃなきゃ・・・甘えるポイントはないわよね?
「・・・・・っおか・・・えり・・・、茜っーーー」
きっと冷静な私が見ていたら醜態。
そう思うのだろうけれど積み重なったもので理性の崩壊。
声を響かせるとほぼ同時にしゃがみ込んで私を覗き込んでいた姿に抱き付いて存在を確かめた。
押されて座り込んだ彼だけど、まるでそうされるのが分かったいたようにすぐに私の体を抱きしめ程よく力を込める。
ああ、甘くほろ苦い。
彼が・・・いる。
その存在感だけで癒される心は凄い。
「訂正・・・・」
「ん?」
「薬箱と同じくらいは必要・・・」
そう告げれば軽く噴き出した彼が困ったように声を響かせ私を覗き込んだ。
「じゃあ、せめて・・・持ち合わせる薬の中で一番効果がある物にしておいて」
ああ、もうおかしいのかな?
熱のせいか頭が本当にいかれてる。
きっと雷で心が折れているのも原因。
だって、
だって・・・・今更だ。
彼の声や仕草や笑い方に見事反応して言葉に詰まる。
熱いのは・・・・熱のせい。
「・・・・・特効薬は・・・常に傍にないと落ち着かないんです」
響いたのは自分の声で、すぐに何を言っているんだろうとぼんやりと思うけれど訂正もしない。
ただ、今は・・・。
私を見つめるグリーンアイが綺麗だと、
そう、ただ・・・それだけ。
それだけ・・・・・だった・・・のに?
頬に触れた指先に鳥肌が立った。
わずかに弧を強めた口元に胸が締め付けられる。
そうして寄った顔の距離と必然。
そう必然。



