Side 千麻
あれは・・・子供の時。
確か仕事で両親の帰りが遅かった夜。
こんな風に外の天気が荒れていて、鳴り響く雷に怯えて部屋の電気をすべて付け恐怖に耐えていたんだ。
一人で怖くて、寂しくて、鳴り響く雷が怖くて。
誰か傍にいて・・・。
そう思った瞬間に爆弾でも落ちたかのような音と光で呆然とした。
そして瞬時に真っ暗になった部屋。
隣の家に落ちた雷。
停電して真っ暗な中泣いても叫んでもしばらく誰も帰らなくて。
未だにこうしてトラウマとして残る恐怖。
雷は嫌い。
雷は怖い。
暗闇も嫌なのに・・・。
何で私ここにいるの?
もうずっと手が疲労で震えるほど耳を押さえて座り込む。
一度流れ出した涙は歯止めがきかずに次々と流れ出て、発熱している体はローカから動けずにいる。
着替えたい、寒い・・・。
なのに怖くて怖くて動けない。
今も時々光る雷光に怯え、追って響く雷鳴に目蓋を閉じる。
悪循環。
体力的にも精神的にも限界なのに勝る恐怖心で耳を塞いで。
もう・・・嫌。
早く早く・・・誰か来て・・・。
傍にいて・・・。
ああ、そうやって願っても・・・。
父と母は帰って来なかったっけ。
そして彼も・・・。
私が心無い一言で拒絶した。
『甘えるポイントだよ?』
ああ、そうね。
あの時・・・・らしくなくても、
縋っていたらこんな思いにはならなかった?
「・・・・・・・・茜・・・」
名前を呼べば、その存在を近くに感じて、思い出して安心するかと思った。
ただ・・・・それだけ。
でも、驚いた。
暗くて気が付かなかった。
耳を塞いでいて聞こえなかった。
でも一瞬ですべて逆転した時間。
「千麻ーーー」
パッと明るくなった空間に驚き、また雷光かとビクリとして。
ギュッと力を込めた手をつかまれ外された。
混乱した耳に入り込んだのはもう嫌ってほど馴染んだ低い声。
きつく閉じていた目蓋を開けて絡んだのは軽く息を切らして見つめるグリーンアイ。



