「ねぇ、・・・・確認・・・・」
「・・・・・はい」
ゆっくり視線を声の方へ移していく。
またパソコンを見つめる不機嫌顔かと思ったら予想外に絡んだグリーンアイ。
それでもまだ不機嫌交える真顔で私をぶれることなく見つめると確認の内容を口にした。
「甘えるポイントですよ?」
「・・・・・はい?」
「ねぇ、・・・俺本当に行っちゃうよ?『行かないで』って言うなら今じゃないの?」
何だそれ・・・。
泣いて縋って抱き付いてそれを言えとでも?
そんならしくもなく私がするようなキャラでもないとあなたが一番分かっているでしょうに。
ぼんやりと思考すら怪しい頭で打ちだしても、それを声にするのまでは億劫でできず。
確かにあんな啖呵は切ったけれど近くに誰かいてくれたら楽かもしれない。
そんな考えに及ぶほど徐々に体力失う自分の体。
それでも・・・、
「・・・・・お仕事です。いってらっしゃいませ」
「・・・・・・千麻ちゃんの馬鹿」
見事、就業時間。
私の返答に心底呆れたように目を細めた彼が溜め息をついてパソコンの電源を落とし始める。
それをぼんやりと見つめてしまっていたけれど思い出したようにデスクの電話を取り車を手配する。
良かった、最後は見落とさなかったと安堵してその瞬間に鳴った雷で視線を窓の外に移した。
雨・・・・・このまま続くのだろうか?
止むことのなさそうな水滴と、厚く黒い雲の世界。
不意に鞄に視線を落としすぐに彼に視線を移した。
今まさに上着を羽織って立ち上がっている姿を見つめ、たぶん用意がないだろうと予測するとそれを鞄から取り出した。
そして無言で歩き始める彼に反応して立ち上がると先に部屋の扉を開ける。
立った瞬間にぐらりと揺れて感じたのがバレていないといい。
多分、バレているだろうけど。と結論付け終始無言の彼の手前を歩いた。
無言。
でもきっと心の中は私への不満を朝から叫んでいるんでしょうね。
可愛くない女だとお思いでしょう?
だから、
早く見切りをつけて契約破棄をすればいいのに。
甘え方すらわからない私なんか一緒にいても喜楽などないというのに。



