「勝手に本人無視して話進めるなよ。俺目当ての会食に、千麻ちゃんの付き添いはアウト?随分横暴で身勝手な会食だと思わないわけ?」
「まぁな、俺も何だそれ?って聞きそうになったけど・・・」
「聞けよ!おかしいだろ!それに具合の悪い千麻ちゃん放って出かけられるはずないだろ?」
「・・・・私は大丈夫ですから」
「っ・・・千麻、」
威圧的な声と眼差し。
攻撃的だけれど本心を理解しているから微塵も恐れない。
これは・・・・単に私の体を心底労わっているからこその憤り。
そう、心配してくれているのだ。
だから恐れる要素はまず見当たらない。
そして、その心配は無用であると【私らしい】言葉で返してしまった。
「仮に・・・あなたが私に付いていて何かできますか?」
「・・っ・・・」
「食事を作るでもなく、看病と言っても私が動けないわけでもない。そうして一緒にいたとしても微々たる補助をするに終わる。そんな気休めはむしろ必要ないし、風邪薬一箱の方がよっぽど私に献身的かと・・・」
だから、気兼ねなしに仕事に赴け。
そんな感覚だった。
でも棘だらけの私の言葉はどうも簡単に彼を悪戯に傷つけ刺激するらしい。
「俺より・・・薬箱の方が千麻ちゃんには価値があるって事ね・・・」
「・・・・・まぁ、確実な医療的効果は上ですよね」
「・・・俺の存在は・・・気休め?むしろ邪魔?」
「・・・・私1人でも身の回りの事くらいはできますから」
別に彼の言葉を肯定したわけじゃなかった。
ただ傍にいなくとも何とかなると言いたかっただけだったけれど、どうやら決定打。
威圧していたグリーンアイがその緊張を解いていく。
同時にゆっくりと逸らされた視線と響く彼の声。
「・・・父さん、19時ね」
「・・・・・いや、振っておいた俺がなんだけど・・・いいのか?」
さすがに口をはさめず終始苦笑いでその場で沈黙していた義父が私と彼を交互に確認して投げかける。
たぶん、『2人ともいいのか?』の意。
もちろんその返答には否はなく、返事を返そうと口を開きかけたタイミングで先に響く低い声音。
「いいよ。・・・・どうせ帰っても俺邪魔らしいし」
「・・・・・自分の事は自分で出来ますから」
「チッ・・・」
先に嫌味を交えた返答をした彼を一瞬視界に収め、でもすぐに義父に移すと自分も容認した。
直後に響く舌打ちは聞き流す。
そういつもの事。
ただ自分の誘いでここまでの揉め事を引き起こした義父だけが苦笑いで私たちを見つめた。



