「僕はコード入力が好きだが、そもそもは自分の手でなにかをつくったり完成までの過程を考えるのが好きなんだ。だからマウスを使って人工知能の実験もしたいし、気が向いたときに工作できる環境がいい」

「それでコーヒーメーカーも自作したり」

「そういうことだ。平日の昼間からこんなものをのんきにつくれるのも、教授職の特権だろう」

 納得。

「それに学生に教えるのも嫌いじゃない。僕にとっては周知の事実でも、生徒がわからないと説明の仕方を考え直すから、思いも寄らぬ発見があったりする」

「予定していなかったのに、教授職が天職みたいね」

「世話になった先生は、おそらく僕のこういう性格を見抜いて誘ってくれたのだろう」

 徐々に先生の人物像が掴めて来た。”工作好き””個人主義””研究者肌”が日誌に加わりそう。


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