kiss of lilyー先生との甘い関係ー

 ユリがキッチンに立つ。

 食材を切ったりフライパンで炒めたり、野菜のアクを取るために時間を置いたり卵と小麦粉をボールに入れて混ぜたりという流れを、楽しそうにさくさくこなしている(僕が介入するよりはやく出来るだろう)。
 
 彼女はこの手の作業が実に効率的だ。文化人類学部の教授によると、課題なんかの提出も飛び抜けて早いらしい。

 ユリは自分のことを個人主義者だといい、そのため付き合いが悪いというが、面倒見は良いと思う。なんだかんだで同じゼミに所属する同級生が課題に滞っていると手伝っているし、下級生が授業選びに困っていると詳しく説明している。

 だから彼女が一人っ子だと聞いたときは少し驚いた。そういう態度から、下に兄弟がいるだろうと半ば確信していたから。

「できたよー」

 トレーに石焼ビビンバやニラのチヂミを乗せてテーブルに運んでくれる。飲み物の準備くらい手伝おう。