「小宮……えーと、なんて言ったらいいのかな」
 
 
 
  
笑いそうにひくつく頬を抑えて、あたしは小宮から顔を逸らした。
 
 
 
「とりあえずTシャツだけでも、と思ったんだけど……」
 
  
理容室のシンボルマークみたいなTシャツの上に、チェック地のシャツを着た小宮がしょんぼりした顔で呟く。
 
 
そう、美容院でなく理容室とかの入り口に立ってるアレ。
 
赤・白・青の斜めストライプ。
 
 
  
「派手な方がお洒落なのかな、と思って……」
 
「派手な服は上級者向けだよ。ストライプの上にチェックなんてあり得ないよ! 目がチカチカするじゃん!」
 
「ごめん。また失敗しちゃったね、僕……」
 
 
  
はい、大失敗です。
 
大失敗なんだけど、可笑しくて仕方ない。
 
真面目に落ち込む小宮を見てると、恰好が恰好なだけに……。

ダメだ。可笑しすぎて涙まで出てきた。
 
 
 
「と、とにかく、今日は服、見に行こうよ。どんなのがいいか、選んであげるからさ」
 
震える声で言うと、小宮が更に真剣になった顔を上げて、あたしを真っ直ぐに見つめた。
 
 
「うん! よろしくお願いします!」
 
 
思いっきりかしこまった口調でピシッと姿勢を正す。
 
拍子にまたメガネがずりっ。