カルピスをグッとあおって飲み干す。むせて数回咳をした。
 
イツキが笑いながら背中を叩いてくれる。 
 
その手はあったかいけど……。
 
 
なんだろう。何かが物足りない。
 
 
優しさは嬉しいけど違う。あたしが欲しい温度じゃない。
 
 
「どうした? またしけたツラになってるぞ」
 
「え? そ、そんことないよ!」
 
 
イツキに指摘されてギクッと振り返る。
 
いつのまにか横に立たれてて心臓が軽く跳ねた。
 
顔を耳元に寄せてくるイツキ。
動揺する心を抑えて言葉を待ってみれば。
 
 
 
「そろそろ行くか?」
  
 
 
甘さを含んだ声が囁きかけてきた。
 
 
 
「行くって……どこに?」
 
「ホテルに決まってるだろ」 
 
 
 
どくん、と視界が揺れた。